悪魔を憐れむ歌のレビュー・感想・評価
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若きデンゼルの魅力
悪霊に狙われた刑事の奮闘を描く物語。
大好きなデンゼル・ワシントンが主演するオカルトサスペンスです。
オカルトですが、ホラーに寄り過ぎずに、しっかりとサスペンスしているところは好感です。
この作品の良いところは、悪霊が「人憑き」であるところ。人と人の接触で乗り移る「人憑き」。それは不気味で絶望的な設定。でも、呪詛でも魔術でもなく「人」として襲ってくる為に、主人公も人として立ち向かうことが出来ます。
冒頭の死刑囚の下りから、連続殺人の謎、悪霊との攻防からクライマックスへ・・・ストーリー展開は秀逸で見事なものでした。
ラストでのデンゼル・ワシントンの演技も素晴らしいですね。死の覚悟、友人を殺すことになる葛藤、それでも弟の仇をとり、悪霊を殺すことが出来る達成感。そんな感情がないまぜになった表情が、とても素晴らしく感情を揺さぶられます。
逆に残念なところは、「何故」が解消されていないこと。
①「何故悪霊に付かれたまま犯罪者が逮捕され、死刑執行までされたのか?」
②「何故主人公に悪霊は憑りつけなかったのか?」
③「何故悪霊は主人公を付け狙ったのか?」
③については、②にかかっているのでしょうが、憑りつくのであれば死刑執行された際に出来たはずで・・・辻褄は合いませんよね。
もう一つは、「どうやって悪霊を倒すのか?」「悪霊の弱点は?」
これらが、主人公・・・或は主人公に協力した女性教授が発見したのであれば見ごたえがあったのでしょうが、結局先人が見つけたものを読んで知った・・・では、少し少子抜けしてしまいます。そもそも、その本の作者は、どうやってその弱点を見つけたのか・・・そんな事も考えてしまいます。
ラストの猫の下りは、蛇足そのもの。私的評点は4にしました。
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