劇場公開日 1983年8月19日

「【”真紅のレインコートと水と予知夢。そしてベニスに死す。”今作は、娘を湖で亡くした夫婦がベニスに行った際に、町のあちこちで見る紅い影に翻弄されるサスペンスである。】」赤い影 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”真紅のレインコートと水と予知夢。そしてベニスに死す。”今作は、娘を湖で亡くした夫婦がベニスに行った際に、町のあちこちで見る紅い影に翻弄されるサスペンスである。】

2025年9月23日
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■真紅のレインコートを着た娘クリスティンを、家の前の湖で亡くしたジョン・バクスター(ドナルド・サザーランド)とローラ(ジュリー・クリスティ)。
 数カ月後、教会を修復するジョンの仕事のためベネチアを訪れた二人は、霊感のある初老の姉妹ヘザー(ヒラリー・メイソン)とウェンディ(クレリア・マターニア)と出会う。
 娘が亡くなったことを言い当てた姉ヘザーは、ベネチアを去らなければ夫の身に危険が及ぶとローラに警告する。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・劇中に屡々現れる”真紅”の映し方が印象的な作品である。真紅のブーツ、真紅の服を着てベニスの街中を走り去る”少女”。

・ジワジワと、不穏感が画面を覆って行く様は、ナカナカである。

・ベニスの水路から上がる、女性の水死体。細かい説明はないが、ジョンに危険が及んでいく様を暗示しているのである。

・そして、ラスト。暗いベニスの街中を走る紅いレインコートを着た小柄な人物。だが、追いついたジョンに振りかざされる狂った老婆の刃。そして、流れる鮮血。
 その後、ゴンドラに乗せられた棺を彩る真紅の旗。

<今作は、解釈を委ねられるが、序盤に屡々登場する真紅の服を着てベニスの街中を走り去る”少女”は、父、ジョンに危険を知らせるクリスティンであったと思う。
 今作は、娘を湖で亡くした夫婦がベニスに行った際に、町のあちこちで見る紅い影に翻弄されるサスペンスなのである。>

NOBU
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