愛の昼下がりのレビュー・感想・評価
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煮えきらないオトコとタートルネック
仕事、家庭生活は順調だが、どこか、何か足りない?もしくは渇望している旦那のよもやま話を淡々と。これがエスプリかと言われると?なところ。
まあ、あんな時代から馬鹿な夢物語を考えてるのがオトコというもの、ということまでは理解できる、しかしそこまでの内容。
六つの教訓話シリーズにある共通点である男の女性への揺らぎを今回も超絶的巧みさで描いている
冒頭の浴室でのやり取り場面の形を変えてクロエと同じ事する反復などや脚本のうまさやキレのあるカットと編集に惚れ惚れして、それを最大限に活かすネストール・アルメンドロスの自然な光の柔らかさを意識した撮影と照明は今回も冒頭から炸裂していて相変わらずうっとりさせられる。(もちろん今の映画なら当たり前な映像だが同時期の映画のルックと比較するとアルメンドロスがいかに素晴らしいか分かる)
特にクロエの屋根裏部屋に踏み込む時の異世界迷宮感のある撮影とカメラアングルもなども見事で奮っている。
近年のエロ漫画やエロゲームによくある媚薬ペンダント(カラータイマーみたいに光る!)を空想して白昼夢に浸る主人公の姿を、シュールで滑稽ならずに上品に見せるのもうまい。(やり過ぎると『昼顔』みたいになる)
クロエや奥さんでもあるエレーヌ達女性陣もとても魅力的でファッションなどもピシッと決まってカッコいい。
70年代パリのデパートの佇まいや通勤列車の風景が空気感も含めて何度も再見したくなるほどに魅惑的な作品。
個人的にローメル作品は、好きだけどなんとなく語り難い雰囲気が漂うのはインテリアオシャレ感のある会話劇が主体だからかもしれませんが、もっと俗なところや記録風俗としての映画として楽しんでます。大好きな『夏物語』や『秋の恋』もいつかレビューしたい。
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