「文学的」愛人 ラマン ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
文学的
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フランス植民地時代のインドシナの風景が、異国情緒いっぱいながらもとてもヨーロッパ的に撮影されていて、カフェオレ色のメコン川もなぜだかとても美しく見えます。
フィルムも純文学の香り漂う雰囲気です。
少女から大人になる微妙な時期に、一回り以上も年が上の華僑と肉体関係を持つことは、分別がつかないとしてもかなりぶっ飛んだお嬢さんだと思います。当時のフランスではまだ貞操観念があることが主流だったはずだし、ましてや侮蔑する対象の黄色人種。
支配階級である彼女達フランス人一家の振る舞い方が、人種に対する当時の考え方を如実に表しています。まあ、現代もまだまだ白人は優位ですが、一家の荒み方は酷いものでした。静かなアジアとは全く対象的です。
そしてなんと、二番目の兄は若き日のメルヴィル・プポー。
男が本気になり結婚まで意識されるほどの女に成長した主人公。彼女の「ラ・マン」は、最後に弱さを露呈しました。
果たして、彼女は彼を愛していたのでしょうか。それともセンチメンタルな気持ちを愛と取り違えただけだったのでしょうか。冒頭の告白を信用するならば、彼女は彼を愛した。そして、彼との限られた愛を文学という形にして、刻みこみたかったのではないでしょうか。それが、彼女の幻想だったとしても。
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