「ばんえい競馬は人生の暗喩そのものでした」雪に願うこと あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
ばんえい競馬は人生の暗喩そのものでした
傑作中の傑作です
ばんえい競馬は重い橇を引いて競争します
サラブレッドが華麗に疾走する姿とは全く様相が違っています
私達一般人の人生そのものの姿と言えます
サラブレッドのようにスマートではなく、ずんぐりとした農耕馬です
レースもスタートして一番に走っていたのに、障害を乗り越えるために力を溜めるから、結局並んでしまったりします
一番目の障害はなんとか乗り越えても、二番目の障害で力尽きたり、くじけてしまったりする馬もいます
みな泥臭く重荷を引いてしんどい思いをしてなんとかゴールを目指すのです
そんなにしんどい思いをして競争しても賞金なんて中央競馬のような大金は転がり込んできません
何とか生き残って、また一年働けるだけなのです
結末の結果は語られません
しかしクライマックスにはカタルシスが訪れます
時に逃げ出したくなるときもあります
実際逃げた事もあります
その時にどう持ち直すのか
見えたり見えなかったりする橋は象徴的です
見えなくても水面下に必ず橋はあるのです
雪に願うこと
それは水位が下がって凍結した湖面の雪原の上に橋が見えていること
こんなに苦しくたって橋はあるんだと、
自分は橋を渡れるんだという希望を感じれるのです
昔は蒸気機関車だって渡っていた立派な橋が
美しい北海道の光景と美しい馬の姿を美しいままに撮影するカメラが素晴らしい仕事ぶりを見せています
音楽もドラマに大変マッチして格調を高めてくれました
数々の映画賞を受賞するのは当然です
コメントする