「「下川さん!あのフェリーはジーダスのせいで座礁したんですよ。早くガメラを呼びましょう!」」LIMIT OF LOVE 海猿 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「下川さん!あのフェリーはジーダスのせいで座礁したんですよ。早くガメラを呼びましょう!」
ガメラのイメージがまだ目に焼き付いているときに津田寛治がスクリーンに映し出されると、窓外で傾いたフェリーの横にガメラが飛んでくる錯覚に悩まされます。しかし、こちらの方が迫力においては勝っていました。それは海上保安庁の全面協力協力とかかなり進歩したVFXによる効果よりも5000人ものエキストラのおかげかもしれません。実際の大型フェリー船も効果的に使っているので、とてもリアルな仕上がりでした(後半のフェリーの傾きが船内とリンクしていなかったことが残念でしたけど)。
映画はまさしく体育会系。ただただ人命を救助したい熱い男のドラマと、主人公仙崎大輔(伊藤英明)と婚約者(加藤あい)のラブストーリーであり、単純明快。大事なことは、いつ泣いてもいいようにハンカチを用意するだけです。もちろん前作やTVドラマ版を観てなくても大丈夫です(海保のメンバーがちょっとわからない程度)。『タイタニック』や『ポセイドン・アドベンチャー』の真似だという意見は周囲から散々聞かされるような予感もするのですが、この映画は逆さまになったり真っ二つに折れるのではありません。横に倒れるのです!そこのところを反論材料として用意しておいてください・・・
船内に取り残されるのは仙崎とバディの吉岡(佐藤隆太)、そして売店で働いていた大塚寧々と中古車ディーラーの吹越満でした。絶妙なキャスティングでしたが、怪我をしてしまった吹越が今にも「オレハダイジョウブ」などとロボコップネタを披露してくれそうな妄想にかられた観客が、620人に1人くらいの割合でいたような気がします。また、ちょっとした小ネタで、恋愛研究会に所属していた大塚寧々が「恋愛の結末」というテーマを論ずるところも面白かったのですが、他のパターンはないものか?と鑑賞後に恋愛映画を議論するのも楽しそうです。
この先、『ポセイドン』も公開されることだし、なぜか最近の映画では、沈没する船が多すぎないか?と疑問に思っていましたが、実際にも全世界で年間に大小あわせて2400隻もの船が沈没しているそうです。死者数も年間100人以上。こりゃサルベージ業という職業も必要になってくるわけですね・・・2014年のセウォル号事件も悲しかった。
【2006年5月映画館にて】