ガンバとカワウソの冒険
劇場公開日:1991年7月20日
解説
野間児童文学賞を受賞した斎藤惇夫の原作を元にしたアニメ「グリックの冒険」「冒険者たち-ガンバと七匹のなかま」に続くシリーズ完結編として全国公開された劇場用長編アニメーション。ガンバなど6匹の個性的なネズミのほかに、新しいキャラクターとしてカワウソが登場。ガンバたちが、旅の途中で出会うカワウソたちを野犬から守りながら旅を続けるというストーリーで、カワウソという絶滅寸前の動物を通して環境問題を考えようという新しい視点が盛り込まれている。監督は「アンパンマン」「おむすびまん」の大賀俊二、脚本は岸間信明、作画監督は鈴木信一、美術監督は田村智揮、撮影監督は長谷川肇、音楽は近藤浩章がそれぞれ担当。75年に放映されたテレビシリーズ「ガンバの冒険」そのままの声優陣がメインキャラクターの声を担当している。
1991年製作/80分/日本
配給:共同映画
劇場公開日:1991年7月20日
ストーリー
今度の冒険は、ガンバたちが仲間の一人シジンの切なる願いを何とか叶えてあげたいという思いから始まった。シジンの婚約者のナギサが、「南の島」へ先祖の墓参りに行ったきり戻ってこないという。心配したシジンはガンバたちに彼女を探しに行こうと頼み込んだのだった。島についた彼らは、お婆さんネズミから、ナギサらしいネズミが大川を遡っていったことを聞く。さらにガンバたちは、この川にいる獰猛な野犬の群れに、自分たちよりずっと強いイタチがなぶり殺しされるところを目撃。ナギサを救うため、大川の上流を目指し、ガンバたちの命懸けの冒険が始まった。山を越え、谷を渡り、ガンバたちは、ついにカワモとカモクのカワウソ姉弟と一緒にいるナギサを見つける。先祖のお墓にシジンとの結婚を報告しにきた彼女は、傷ついたカワウソ一家と出会い放っておけなくなったのだ。父カワウソのカゲロウは、この川の上流に豊かな流れの源泉があり、それに沿って下った「鉄の橋」の先に、カワウソの仲間が棲む楽園があることを告げた。その旅の途中で野犬に襲われて、妻のカワウソは殺されたのだ。ガンバたちは、カワウソ一家を豊かな流れまで連れて行ってあげようと決心するが、その時、ウキクサと名乗る一匹のネズミが草むらから現れた。野犬に追われて助けてほしいというウキクサを、ガンバたちは仲間に入れたが、彼はどことなく不信な態度をとった。迫る野犬の群れに、カゲロウは自分を囮にしてガンバたちを逃がすが、力尽きて川を流れていく。悲しみを胸に、上流を目指すガンバたち。野犬たちは執拗に後を追いかけてくる。ウキクサの提案で、暗渠の用水路を進んだ彼らだが、トンネルの中で挟み撃ちにあう。野犬の首領のブラックは、カワウソを引き渡せばネズミたちは助けてやるという。野犬は、カワウソが狙いだったのだ。動揺するガンバたち。危機一髪、ボーボの機転で掘ったアナを進むと、水が湧き出る広い洞窟に出た。「ここが豊かな流れの源なんだ!」ガンバたちは、興奮し、さらに源流を下り始める。食料を探しにいったガンバが戻ると、みんなの姿が見えない。野犬に襲われたのでは、と必死で探すガンバの前にボーボが現れ、みんなバラバラに逃げたという。一方、カワモとカモクを連れたウキクサは川の中州の穴に逃げ込んでいた。そこに野犬のブラックが声をかける。 「よくやった、ウキクサ。さあ、カワウソを渡すんだ。」 「いやだ! もうお前たちの言いなりにはならない!」 傷つきながらも、ウキクサは必死で二匹を守る。ガンバとボーボの呼ぶ声に無事だった仲間が集まってきた。ガンバたちが堰のローブを噛み切ると、崩れた堰から流れ出した水が次々と野犬を押し流していく。 「やった、野犬に勝ったぜ」 躍り上がるガンバたちの前に、ウキクサをくわえたカワモとカモクが泳ぎつく。ウキクサは、裏切りを謝ると息絶えた。家族を人質に取られ、仕方なく野犬の手引きをしていたのだ。新たな悲しみを胸に川を下るガンバたち。向こうには、カゲロウが言っていた「鉄の橋」が見える。そのとき、丘の上から不気味な遠吠えが聞こえた。橋を越えれば、豊かな流れはもうすぐ。最後の決戦だ!