「斉藤歩さんを偲んで」LOVE COLLECTION ねじりん棒 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
斉藤歩さんを偲んで
俳優で劇作家で舞台演出家の斉藤歩さん
尿管癌のため札幌市の自宅にて60歳で他界
名前だけではピンとこない人も多くいるかもしれないが邦画をよく観る人なら顔写真で「あーあの人か」と思い出すはず
アニメ『サマーウォーズ』で侘助の声当てをしている
舞台の人だが年齢的にいってキャリアも長く映画にもわりと出ているが主役は少ない
数少ない主役を演じた映画作品の一つ
2004年公開作品
監督は『童心 重松清原作「愛妻日記」より』の富岡忠文
脚本は『聖子の太股 女湯小町』『ゴールドフィンガー もう一度奥まで』『ぼくらの七日間戦争』の前田順之介
どんな映画か?
タクシーの新人運転手の井村直人が理髪店で散髪中に店主とその妻に仕事中に体験した話を聞かせる形
謳い文句によると大人のブラックコメディーらしい
粗筋
深夜の賑やかな明治通りで若い女性客を乗せた井村は客の指示通りに目的地に向かったが客は置いてきたコートの中に財布がありお金を払えなかった
女性客は交際していた男に殴られ逃げて来たのだが財布が入ったコートはその男が住むマンションの一室にありそれを取り返すため客の指示通り井村はUターン
バッグを後部座席に置いて男の部屋に向かった女性客だったが男は外出中で取り返すことはできなかった
仕方がないので女性客は緑ヶ丘の自宅まで乗せて貰ったのだが家の鍵もコートの中だという
鍵が掛かっていない2階の窓からなんとか家に入った2人だったが自宅にもお金がない
女性客は井村に対し「カラダ」で支払うことを持ちかけた
記憶は前半モノクロ
はじめはなぜか女性客に音声がなく無声映画のようなト書きに
井村には声があったもののアフレコは明らかになぜがずれていた
それも財布がないことに気づくあたりから二人とも通常の音声に
女性客の自宅に入ると今度は通常のカラーに
BGMは無声映画風のピアノ演奏
ヌードモデルの夏生ゆうなのヌードあり
女性客美咲の自宅に彼女を殴った藤沢が謝罪にやって来る
意識不明の娘チカの意識が戻ったと病院から電話があり藤沢にそこに連れて行くことを求められた井村
早速外に出る二人だったがタクシーは駐車違反のためレッカー車で移動されてしまいそこには無くなっていた
別のタクシーを拾うため歩いて立ち去る藤沢
井村の話の途中で別の客がやって来る
嶋田久作演じる客がミュージシャンの黒木が亡くなったことを知らせる
黒木は理髪店店主の田上勝利の同級生で二人は同じバンドメンバーだったが田上は音楽性の違いから喧嘩別れして早々と脱退した
料金を払わない女性客の話は黒木の話で自然消滅してしまうが田上店主の妻が話を戻してくれた
タクシーがないので渋々美咲の家に戻った井村
藤沢の家庭について話しているうちに美咲は突然SM嬢に豹変する急展開
美咲は田上店主の妻というオチ
どうやら美咲の話は井村の作り話らしい
美咲の自宅に置き忘れたという赤い手帳も実際は美咲が働く店に置き忘れていた
その手帳は美咲の自宅の田上理髪店の忘れ物置き場に
美咲はどうやら水商売のようだ
勝利は美咲から「カッちゃん」と呼ばれている
配役
タクシードライバーに転職したばかりの井村直人に斉藤歩
井村の乗客で夫はいるが出張中に不倫をしている美咲に夏生ゆうな
美咲の元カレに藤沢にベンガル
田上理髪店の常連客に嶋田久作
田上理髪店の従業員で理容師の由美子に角替和枝
井村が散髪にやってきた田上理髪店の店主の田上勝利に石橋蓮司