「潜水艦イ-57無駄死にせず」潜水艦イ-57降伏せず 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
潜水艦イ-57無駄死にせず
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近年…と言っても10年くらい前に『ローレライ』『出口のない海』『真夏のオリオン』などがあったが、当時としては珍しかったであろう和製潜水艦映画。
1959年の作品。
ある極秘任務を受けた潜水艦イ-57。某国の外交官父娘をスペイン領のカナリー諸島に輸送するというものだった…。
潜水艦映画の王道、息を潜め、レーダー探知、魚雷の爆音や衝撃、敵との攻防はスリリング。
むさ苦しそうな潜水艦内部や乗組員たちの描写もなかなかリアル。海軍出身の松林宗恵監督が細部までこだわったという。
任務の詳細は乗組員たちには知らされず。任務に疑問の声が高まる。
任務の詳細を打ち明け、皆、任務には否定的。が、艦長の為に命を懸ける覚悟は出来ている。
外交官の娘は日本人も軍も潜水艦も嫌っている。
ある時高熱を出す。熱を下げる為に氷を作ろうとするが、それには艦内の燃料をカットし、乗組員たちが猛暑に耐えねばならない。
かくして氷は出来るが、娘はそれすら拒否、軍医長は叱咤する…。
艦内の人間ドラマもなかなか見応えあり。
これがハリウッド映画だったら外交官の娘と軍医長は恋に落ちているだろう。
全編に渡って円谷特撮の真骨頂。
モノクロ作品だがクライマックスはカラーフィルムで撮影され、それをまたモノクロに戻し、なるほど言われて見れば映像は鮮明。
任務は成功。任務を終えたイ-57は再び戦いに戻り、海に沈む…。
任務の目的は日本に有利な和平の為。
が、それから程なく、終戦。
彼らは無駄死だったのか…?
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