樹の海のレビュー・感想・評価
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樹海を舞台に自殺希望者の「未練」がもたらす結果とその後の経過がテーマなのかな
テーマがそれに絞れていればまだ良かったように思うが、どうにもダラダラまとまりを欠いた演出で過度に間延び描写していたのは大きなネガ点。 作り手側の「樹海自殺」に対する認識の浅さ、それを題材に映画をいかに作り上げるかというさもしい打算が垣間見えるようで、題材がではなく製作意図に嫌な感覚が生じてしまったよ。
まさに人間群像
拙ブログより抜粋で。 -- ほぼ2時間の上映時間は、樹海と自殺というキーワードだけで組み立てられた一本の映画としては、少々長い気もするのだが、四つのエピソードが、うまく描き分けられていて、視点や表現方法も変えてくるので、なんとか飽きずに観ていられる。 技巧的なことで述べれば、独立した四つのエピソードを絡めつつ、回想シーンも多用し、場所や時間軸が盛んに飛び回るのだが、構成や編集のうまさなんだろう、単調にならないよう適度に思考回路を刺激しながら、かといって話がわからなくなるということもない。 ただ、裏を返せば、この手のオムニバス作品の宿命で、各々のエピソードそのものは比較的あっさりしており、派手なストーリー展開で魅せるという類いの作品ではない。 携帯電話でのやりとりで説明台詞的に語られるタツヤのエピソードにしても、会話劇に終始する山田と三枝のエピソードにしても、あらすじだけで言ってしまうと他愛もない小話にすぎない。しかし、そこに凝縮された監督の人間観察の鋭さ、脚本家としての引き出しの多さには圧倒させられてしまう。 死のうとする者、生きようとする者、普通の人々が自殺へ追い込まれる背景の一端が綴られた、まさに人間群像。 人の生と死をさまざまな角度から描きながらも、すべてのベクトルは「あなたにも誰かがいてくれる」という確固たる主張に向かっており、遂には感動的な再生の結末へと収束する。 「自殺はいけない」という実直なテーマの一方で、「自殺は悪だが、自殺者は悪人ではない」との信念が貫かれていることもまた、陰鬱になりかねないこの作品が、不思議と温かみのある良心の作品になっていることに一役買っているといえよう。
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