「「鍵泥棒のメソッド」途中退場のリベンジは・・・」運命じゃない人 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
「鍵泥棒のメソッド」途中退場のリベンジは・・・
サラリーマンと探偵と結婚詐欺師とフラれたオンナとヤクザのお話。
「アフタースクール」でも感じたが、ここでも登場人物は軽い。ただしここの場合軽さがその内容の恐ろしさに目を背けさせてくれてもいる。それがよいことなのかどうか、わからないが世間の評価ではその点は無視されている。
今回の脚本、というか「アフタースクール」もだろうけど、まずは場面をイメージし、シチュエーションを組み立てていってから、積み上げていくと最終的にこういうお話になっちゃった、という練り上げ方なんだろうね。
なので、こういう話にしたい、っていうところからスタートしていないせいか、ストーリー自体に吸引力が足らない。
そしてその場面、場面が結局はセリフが面白かったり、主人公ががんばったりする姿がブツ切りで楽しいだけだったような気がする。
逃げそびれた結婚詐欺師のオンナが世にも恐ろしい目にあうことは想像に難くなく、別にヤクザのオンナでなくてもいいんじゃないかという設定なのに、そういったところの気配りが実は甘い。これまで散々男を騙してきたんだからその報いだ、というのとは違うだろう。
このカントクの書く本はいつも「そういう配慮」が足らない。
たとえば「アフタースクール」の終盤の大泉のセリフや、途中退場した「鍵泥棒のメソッド」の記憶が飛んだ香川が最初に堺と広末に心境をぶちまけたセリフなど、極端に配慮が足らない事でもわかる。
それぞれ人には好みの映画はあるし、それについて全くいちゃもんをつけるつもりは無い。
あくまでオレの意見としてだが、やはりこういうお話にしたいって作ったような脚本とは思えないから、どうしても世間の「緻密な脚本」という評価には共感もてないし、その積み上げ方は相当な労力だったとも思うけど、極端に配慮の足らない点を全作品で感じると、さすがにオレはダメだ。
「鍵泥棒のメソッド」の再挑戦は止める。