「史実とファンタジー、巧みな融合の妙味!」劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 しゅうへい(syu32)さんの映画レビュー(感想・評価)
史実とファンタジー、巧みな融合の妙味!
「鋼の錬金術師(第1期)」劇場版。
DVDで2回目の鑑賞。
原作は既読、第1期も鑑賞済です。
第1期最終回の後日談であり、真の完結編―。それぞれの世界で生きるエルリック兄弟の、「会いたい」という痛烈な想いが引き起こしてしまった双方の世界の危機が描かれました。
エドワード・エルリックのいる世界は、我々の住む世界と同一で、第一次世界大戦敗戦後のドイツ。ベルサイユ条約締結後に成立したワイマール共和政政府の、戦後処理の不備により発生したハイパー・インフレで、民衆は貧困に喘ぎ、極右・極左の国民運動が激しくなって来た時代でした。
ナチスやヒトラー、トゥーレ協会、ミュンヘン一揆など、歴史上の人物や組織、出来事が多く登場しました。そこに魔術や錬金術、ロケットなどが絡んで来ることによって、スチームパンク的世界観が構築されており、観ていて楽しくなりました。
映画ファンとしては、実在の映画監督フリッツ・ラングの登場が嬉しい限り! 妻のテア・フォン・ハルボウと共に製作したSF映画の古典「メトロポリス」や、犯罪映画の先駆けと言える「ドクトル・マブゼ」が有名ですねぇ…。キング・ブラッドレイのこちら側の世界での姿としての登場でしたが、細かいことを指摘すると実年齢が合わないような気がする…(笑)
一方アメストリスでは、自らの肉体を取り戻したアルフォンス・エルリックが、エドの行方を捜して旅をしていました。しかし肉体を取り戻したは良いものの、兄と共に過ごした4年間の冒険の記憶を無くし、精神年齢も肉体を失った当時のままため、禁忌を犯すことの恐怖を知らないという危うげな状態…。
それが遠因となり、こちらとあちらの世界を繋ぐ“門”を開き、世界の危機を招くことになってしまいました…。無垢な想いが引き起こしてしまった悲劇ですが、自分で蒔いた種は自分で摘み取らなくてはならないとばかり、合流した兄と共にアメストリスを滅ぼそうとする悪に立ち向かいました…!
ゲスト声優で、小栗旬とかとうかず子が出演。小栗旬はまぁまぁでしたが、かとうかず子がめちゃくちゃ上手いなと思いました。アテ書きされたというだけあって、見事なハマリ役。穏やかさと狂気を演じ分けているところがすごかった!
【余談】
ラースの右腕と左足がオートメイルになっていることに驚きました。イズミが生み出したホムンクルスという設定に変更されていることにも…。後でWikipediaを読んで理由を知りました。第1期の内容殆ど覚えてないなぁ~(笑)