「最強のヒロインとの切なすぎる物語」映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ夕陽のカスカベボーイズ ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
最強のヒロインとの切なすぎる物語
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西部劇への数々のオマージュが楽しめる本作だが、実はそれ以外にも重要な要素がある。
つばきちゃんの存在だ。
おそらく、クレしん史上最強のヒロインが登場するこの映画は、切ない恋を描いたジュブナイル映画としてもかなり秀逸。
映画の中でしんちゃんはヒーローにもなるし、儚げな少女を好きになったりする。
まさにそれは夢のような時間なのだが、最後は思ってもみない形でつばきちゃんとの別れが訪れる。
つばきちゃんは最初から、しんちゃんたちとは一緒に帰れないことをわかっていたのだと思う。
それを思うと、どうしてもやりきれない気持ちがこみ上げてくるのだ。
夢のような時間は、映画のようにすぐに終わる。
祭りの後の寂しさのような、そんな感情を抱かずにはいられない終わり方なのである。
ラストシーンでシロと再開した後、あれほど狂おしい恋心だったにもかかわらず何事もなかったかのように劇場を後にするしんちゃんたちを見て、鑑賞者は強烈な現実感に襲われる。
このラストシーンに訪れる唐突なリアリズムと虚無感こそが、この映画のテーマそのものであり、一番の魅力なのだと思った。
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