「原作者は中学生。リアルないじめの一面。」問題のない私たち とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作者は中学生。リアルないじめの一面。
『別冊マーガレット』に連載していたとな。うん、原作は、『別冊マーガレット』の購買者層を考えても、ベストセラーになるだろうなあ。原作を読んでみたくなりました。
いじめを取り上げた意欲作。
執拗ないじめ、不器用な感情のはけ口。
何がむごいって、右に倣えで動くクラスメート。こいつらが一番、手ごわい。「私、言われたままやっただけだもん」「だって、仲間にいなかったら次は私だよ」って、仲間に入っていたって、次のターゲットになりえるのに。加害者なのに、被害者意識を持ち、かつ傍観者気分。一番たちが悪い。”守られている”感が欠如しているのでしょうね。
中学校が舞台だけど、大人の世界にもある話。
ほら、マスコミ報道のバッシング。自分たちが標的にならないように正義者面して、自分たちがバッシングされないように世間の動きを見つつ、落としどころを探している。そして、マスコミ報道を煽っているのは、購買者であり、視聴者。常にスケープゴートの標的を探している。
そんないじめの一端が見事に描かれている。
それにしても大人は情けない。
現実にはもっとちゃんとしている(と思いたい。少なくとも私の知っている教員はあんなではない)。けれど、中学生の目から見たらあんななんだろうな。
親も。(一生懸命で誠実そのものなんだけど、なんかはずしている大人演じさせたら勝村氏の右に出る方はいないんじゃないだろうか)
後、ボケ校長。この映画を初鑑賞した時は、さすがにこんな校長はいないと思っていた。けれど、今、世の中からなんでもかんでも責任を押し付けられて成り手が無くなっており、昇進試験にさえ受かればなれる状態だから、とんでも管理職は増えそうな予感。ここが一番怖い…。
教員が絡む話は原作にあるらしい。
でも、できれば端折って、第一部の話だけで勝負してほしかった。いろいろな部分をもっと丁寧に膨らませれば、後世に残る映画になったと思うのだけれど。
作品としては、水着の脚先から舐めるようなショット等があって不快。担任のファッションもありえないし。監督の趣味か、そういうショットがないと売れないと思ったからか。作品を汚している。
加えて、中学生の設定なのにあの化粧。化粧で仮面を作っていた設定?すっぴんで挑む女優根性を見せてほしかったなあ。
もっとまじめに気合入れて作れば☆5つの題材なんだけど、グラビアアイドル映画の気分が抜けないので☆3つです。
もう少し大切に作って頂きたかったです。