ふくろうのレビュー・感想・評価
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これも新藤監督流の反戦映画であることは間違いがない。
「国策の誤りが、いかに民衆の生活を破壊するか」ということについては、太平洋戦争中の満蒙開拓団という移民施策が、他の何よりも、雄弁に物語ると、評論子は思います。
それは、寒冷の大地を耕作地に変える苦労ということだけでなく、戦況の悪化による軍部(関東軍)の方針変更もあり、別作品『黒川の女たち』にも描かれているような、凄惨な結末を迎えたということだけではありません。
命からがら日本に逃げ帰るに際しては、旅程の足手まといになる幼い子どもたちが、多く、現地の中国人に預けられ、後には「中国残留日本人孤児」として、大きな社会問題となったことも、レビュアーの皆さまには、すでにご案内のことかとも思います。
(問題解決が、ようやく緒についたのは、終戦後、40年近く経ってからのことでした。)
本作は、舞台設定としてそういう満蒙開拓団を描くものではありませんが、同開拓団の引揚者は、日本に帰還しても故郷には「居場所」がなく、国内の他の未開地に、再び開拓団として入植するケースも少なくなかったと聞き及びます。
本作の「希望が丘開拓団」も、おそらくは、そういう開拓団の一つだったのでしょう。
しかし、そうして入植した新たな入植地での生活も、決して平坦で、豊かなものではなかった―。
コミカルな要素も交えて描かれてはいるものの、全編を通じては、あたかも玉突きの玉や心太(ところてん)のごとく、再び「開拓団」として、日本国内の辺境への転進を余儀なくされるその悲哀は、スクリーンを通じても、放射熱のように、犇々(ひしひし)と伝わるかのようです。
もちろん、本作の「希望が丘開拓団」は、満蒙開拓団ではないのですけれども。
しかし、その実態を具(つぶさ)に観察すれば、境遇として、中国大陸に送り出された満蒙開拓団と、少しも変わらないことにも気がつきます。
そう考えてみれば、映画を通じて、一貫して「反戦」を訴え続けた新藤兼人監督らしい、本作も立派な反戦映画に仕上がっていたと、評論子は思います。
佳作だったとも思います。
(追記)
よっぽど嬉しかったのでしょうね。
ようやっと稼いだお金で、滞納していた水道料金を払うことができ、久しぶりに水浴びができたことは。
若い女性のエミコが、あられもない素っ裸で水を浴び、満顔笑みではしゃぐ姿からは、心待ちにしていた通水が、それほど嬉しいことだったのでしょう。
それほど倹(つま)しい生活を強いられて来ていたことにも、胸が痛みました。
これも、戦争の惨(むご)さの、いわば「余波」なのだったとも思いました。
久しぶりに視聴した。初見の時より冷静に観れた。 妖艶な大竹しのぶさ...
伊藤歩
ダム工事人、電気屋、水道屋と次々とやってくる男たち、みんな金を払ってユミエを買う。男って、こうもスケベなのか・・・女を買うことに躊躇しない。冥土の土産のつもりなのか、最後まで男の欲望を満たしてやってから毒入り焼酎を飲ませて殺してしまう。
同じことの繰り返しなのに、大竹しのぶと「客」との会話がすべて違う。世相を反映させたり、国、自治体による入植政策のお粗末さなど、色々なことを考えてしまう。特に、巡査や同級生がやってきたときには部落問題を想像させる内容だったし、脚本に上手く取り入れてあるなぁと感心してしまった。
最後の人間模様は本当に面白い。舞台劇向きなのかな~とも思ってしまいました。なんといっても、伊藤歩のヌードがよかった・・・それかよ。
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