映画ドラえもん のび太の宇宙開拓史のレビュー・感想・評価
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しずかちゃん達の出番が少ない
劇場版ドラえもん第2作。
序盤はこれホントにドラえもん?という感じで進んで行く。スーパーロボットのノリでワープ航法を行い、超空間に閉じ込められたロップルとチャミーの宇宙船の倉庫の扉とのび太の部屋の畳が次元の歪みで繋がって、のび太たちと知り合いになる。次元の歪みがいつ戻るか分からないみたいな感じなのに、のび太たちは頻繁に遊びに行き、しずかちゃんたちを連れて行くこともあるのは謎。どこでもドアで行けばいいのでは?と思うが、最後は今生の別れみたいな感じなので、どこでもドアで行くことの出来ない次元の違う世界なのかも知れない。
舞台のコーヤコーヤ星の空気はとても澄んでいるらしく、地球の空気を吸ったロップルとチャミーは咽るほどだった。そんなコーヤコーヤ星はエネルギー源となるガルタイト鉱石の発掘が出来るということで、ガルタイト鉱業と開拓住民が衝突しているという、なんとも子供向け映画とは思えないテーマで話が進行する。重力の軽いコーヤコーヤ星ではのび太はスーパーマンになって活躍出来るということで、ガルタイト鉱業の手先を何度も撃退するのだが、しびれを切らしたガルタイト鉱業はコーヤコーヤ星を爆破するという強硬手段に出る。いくらなんでも突飛過ぎないだろうか。これまで証拠が無いから警察は介入出来ないということだったが、さすがに惑星吹っ飛ばして証拠を残さないのは無理がある。
ただまぁこれものび太達の活躍で防がれるのだが、爆発を防ぐのも、殺し屋ギラーミンを倒すのも全てロップルに持って行かれてしまうというのはさすがにどうなんだろうか。そしてしずかちゃん、スネ夫、ジャイアンの出番が兎に角少ない。前半にコーヤコーヤ星に来たものの、ガルタイト鉱業に恐ろしい目に遭わされて早々に退散。その後はのび太のピンチを知って助けに来てくれるのだが、それくらいしか出番が無い。ドラえもんの映画としては唯一無二と言っていい出番の少なさでは無いだろうか。
ロップルの妹クレムなんかはのび太があやとりを教えるシーンがあったり、最後に雪の花をのび太にプレゼントしたりと、ヒロインになれる感じなのに、あまり出番が無いのは残念。別れのシーンでもあやとりを披露してくれるのだが。コーヤコーヤ星の1日は地球の1時間という精神と時の部屋方式で進むので、放課後にスーパーマン活動をするという感じで進むため冒険感が少ないのは残念なところ。
殺し屋vsのび太はカット
超空間事故によってのび太の部屋の畳とどこかの宇宙を漂流する宇宙船の扉が繋がってしまうところから本作は始まる。日常と非日常がシームレスに接続されるワクワク感でいえば本作がピカイチな気がする。
宇宙船の持ち主であるロップルとチャミーは未開の新惑星・コーヤコーヤ星に住み着いた開拓移民。とはいえ彼らはアメリカ人のように木々を燃やしたりインディアンを殺したりといった手荒いマネはせず、自然との調和の中で生活を送っている。彼らが一年に一度やってくる大洪水をあくまで年中行事の一環として甘んじて受け入れているあたりからもそのことは明らかだ。
しかし開拓移民たちより後に市街地にやってきた悪どい巨大企業・ガルタイト鉱業は、開拓移民たちが住まう地区に点在する鉱石ガルタイトの独占を目論み、あらゆる手段で彼らを排除しようとする。暴力はもちろんのこと、人質を取ったり殺し屋を雇ったりとマジでやることがえげつない。
開拓移民たちはドラえもんやのび太たちのことを「スーパーマン」と呼び、彼らに助けを求める。なぜスーパーマンかというと、コーヤコーヤ星は地球に比べて重力が非常に小さく、のび太が繰り出す軟弱パンチでさえ暴漢を一発KOできるほどだからだ。
のび太は開拓移民たちのために戦うことで、地球世界では決して満たされることのない自己肯定感を存分に満たす。のび太とコーヤコーヤ星の間に結ばれていたものが、果たしてロップルたちとの純粋な友情であるのか、はたまた共同体防衛とちっぽけな自意識の等価交換であるのかが不明瞭なあたりが怖い。
唯一残念だった点があるとすれば、原作において山場となる殺し屋ギラーミンとのび太の射撃一騎打ちのシーンが丸々カットされている点だ。ギラーミンはただならぬヴィランぶりを見せつけた割にはあっさりとした最期を迎える。
良くも悪くもラストバトルがヌルッと終わるという展開は以後の劇場版ドラえもんにおいても引き継がれていくことになる。物語の初動でいえば『クレヨンしんちゃん』以上なんだけどな…
35点
のび太の切なさがよくわかる長編
平の回に一番近い長編。なのでとても地味。
ジャイスネしずかの登場の仕方も映画版ぽくない。
しかし、地球ではダメのび太がコーヤコーヤ星では受け入れられ、必要とされる。地球よりもコーヤコーヤ星に自分の居場所を見つける、という。なんか、のび太の切なさがよくわかる長編。偶然繋がった、遠い星の友情もロマンチックで良い。
ただ、ラストは原作漫画からは変えたみたい。原作はギラーミンとのび太が一騎打ち、それをみんなが見守るシーンがある。これがかっこいいのに端折ってる。
タイムふろしきは風で破壊装置の上に乗って、偶然助かる、という流れだったと思う。この偶然というのを作者も直したかったのかな。。
のび太、覚醒
新版(2009)より良い!!
映像は流石に古いですが、のび太の誰とでも仲良くなれる親しみやすい性格と、コーヤコーヤの家族との近い距離感を感じて、新版(2009)より遥かに良い内容だと思います。映画ドラえもんの中では標準的な面白さだと思います。普段「さん」付けのしずかちゃんが「のび太くん」と呼ぶのが新鮮です。
自宅と宇宙船が繋がるって発想は面白いけど、“どこでもドア”使えば...
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