ヴァイブレータのレビュー・感想・評価
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【”彼を食べて、彼に食べられた。”孤独な男女の長距離トラックロードムービーであり、お互いが心を癒し合う恋愛物語。寺島しのぶ演じる心の揺れに悩まされる女と大森南朋の確かなる演技に引き込まれる作品。】
ー ご存じのように、廣木隆一監督は、青春映画を多数撮っているが、今作後も瀧内公美さん主演の「彼女の人生は間違いじゃない」など、社会派作品の監督を務めたりする多彩な作品を作り上げる監督である。- ■自分の頭の中で聞こえる「声」に悩まされ、不眠や過食、食べ吐きを繰り返していたアルコール依存症の自称ルポライター・レイ(寺島しのぶ)。 ある雪の夜、コンビニでひとりの若い男(大森南朋)に目を留めた彼女は、「彼を食べたい」という直思いに駆られ、男の4Tトラックに同乗し冬の町へ向かう。 ◆感想<Caution! 内容に触れています。> ・トラックの中で交わす何気ない二人の会話が、何とも言えず良い。男は妻子がおり、ストーカーに付きまとわれて困っているとか、無線で他のトラックドライバーと遣り取りをする。 ー 男を演じた大森南朋さんの、飄々とした自然体の演技が良い。彼はレイが吐きたいと言った時にも、彼女を降ろすことなく窓から吐しゃする彼女の姿には気も留めずにトラックを走らせるのである。- ・レイの揺れる心の想いが縦書きテロップで流れたり、頭の中に流れる”誰かの声”の使い方も上手い。 ■二人が、トラックでラブホテルに入り一緒に入浴するシーンは何故か心に響く。男が愛おし気に女の身体を抱きしめるシーン。彼女の心の声も語っているが、優しい男なのである。 そして、翌日二人が食堂で食事を摂るシーンも良い。男は食事を口にしないレイに”食べなよ。”と声を掛け、”吐いちゃうから。”と言うレイに”トラックの中でなければ良いよ。”と言うシーン。その言葉を聞き、レイは割り箸を取り味噌汁を静に口に含むのである。 そして、男は自分に妻子も居ないし、ストーカーも居ない事をアッサリと認めるのである。 ■そして、男はレイに”トラック運転してみる?”と聞き、丁寧に助手席から彼女に指示するシーン。 それまで見せなかった満面の笑顔を浮かべ”凄い!”と喜ぶレイ。彼女にはそれまで頭の中に流れていた「声」は聞こえてこない。 <今作は、孤独な心を持った男女の長距離トラックロードムービーであり、お互いが心を癒し合う、恋愛物語でもある。 寺島しのぶと、大森南朋の確かなる演技が、この作品の風合を善きものにしている事は間違いないであろう作品でもある。>
大森さんは好きだったのだけれど
この映画を見て、ますます好きになった。 金髪もピアスも刺青も好きでないのに、ますます好きになった。 学生の頃、ヒッチハイクして、大型トラックに乗せてもらったことを思い出した。あの頃、運転手さん、冷えた缶ビールをタオルで包んで、飲みながら運転してたよなあ。 私は憧れて、大型の免許を取ったけど、もうずいぶん運転していない。 ろうそくの炎に照らされる寺島さんが、とてもきれいだった。
退屈。。。
福田村事件の荒井晴彦さんが脚本というのでアマゾンプライムで観た。荒井晴彦さんは【止められるか俺たちを】で藤原季節君が演じてたので覚えてて福田村の脚本描いたというので興味持った。ファンの方体当たりの寺島さんには申し訳無いけど自分にはつまらな過ぎた。2人の演技は上手だし景色は素晴らしい。でもなにが言いたいのか全く理解できない。セックスも観たくない。エロ目的にもならないしストーリー上で高揚してロマン目的で観るラブシーンでもない限り他人のトイレを覗き見したような気分。見たくない。 元来知的な人がヤクザっぽいのに憧れて書いたようなストーリーに感じる。 なにが面白いの?
当時どハマりした大森南朋を思い出して、久々に見直してみた。 ガッツ...
当時どハマりした大森南朋を思い出して、久々に見直してみた。 ガッツリと共感めいた感情を抱きながら観た大切な作品だが、今見ると痛々しくて見ていられなかった。 別世界の人間が急速に核心まで触れ合う感じを、当時の自分がすんなりと受け入れられた事が不思議に感じる。 しかし、言葉の隅々まで意味を感じる繊細で大切な作品である事には変わりはなかった。
あのコンビニ良かったな〜
大森南朋、ああいうただただ優しい人いそうやな〜 って思った映画でした、 ほんとにただ出会ってただ別れて、 それだけだけど、なんか自分良いようになれたな って思える瞬間ってあるよね
エロいだけかと思ったら
意外に人間ドラマ。出てくる音楽が良かった。かっこいい。トラウマを克服して、いいものになれたと言える相手なのに、2人が結ばれるという結末はなかったのか。何か寂しかった。トラック事情を聞くシーンはさすがのライター。こっちも初めて知ることばかりで興味深かった。寺島しのぶってすごいとは思うんだけど、美人でないのに無駄な妖艶さがあってなんか好きになれない。それが彼女のいいところなのかもしれないけど。実際演技はいいと思います。声だけの出演で村上淳。センスいいな。
良かった
お互い何者なのか分からない男と女は、出会った瞬間動物の勘で惹かれあったのかな?寺島しのぶ演じる主人公は統合失調症の気があったり吐き食べをしたりと不安定な女性ですが、大森南朋と居ると気持ちが安定してました。こういう優しいいい男ってなかなか居ないんですけどね。だから女性受けする作品なのかしら?女性は数日優しい男性と一緒にいるだけでも癒されますから。大森南朋が思ったよりも全然良かったです。
生身のヴァイブレータ =男 …ですな
(原作後読み)①コンビニで偶々出会った男を“食べてみたい”と思った女。 それだけの話だけど、こういうシチュエーション大好きです。 女にもモチロン欲望有るもんね。 “食べてみたい”と思われた大森南朋もグッドキャスティング。
イタイ女と優しい男のロードムービー
これって運命の出会い?出会った瞬間、背景にバラの花が咲き乱れるような劇的でロマンティックな運命の出会いは、少女漫画などでよく描かれるが、本作の運命の出会いは地味すぎる(笑)。夜のコンビニで酒を買う女、そこにやって来た金髪のトラック運転手。2人は目が合い、男は女のお尻を手の甲で軽く触って去っていく。あまりにも胡散臭い(笑)。常識ある女なら、彼のトラックに乗り込んだりはしないだろう。だが、彼女は「彼を食べたい」と思ってしまう・・・。メジャー作品も多数手掛けているが、廣木監督の真骨頂はインディーズ作品にある。特に「イタイ女」を描かせたら天下一品だ。『東京ゴミ女』では、片思いの男の出すゴミを収集する、イタイ女を描いていたが、寺島しのぶ演じる本作のヒロインも、そうとうイタイ(笑)。どこからともない「声」に悩まされ、食べ吐き(指に吐きだこを発見、何と言う微細な演出)を繰り返すアルコール依存症の30女の東京-新潟往復の旅。ゆきずりの関係以上ではないこの2人のどこが「運命の出会い」なのか?胡散臭い見た目と違い(失礼)、この男は「優しい男」。楽しく会話している最中に、突然泣き出して吐くようなめんどくさい女を、優しく介抱できる男。彼の優しさは常識的な優しさでもなく、下心のある優しさでもない、本能的に女性の求めていることを察知できる真の優しさなのだ。ゆきずりのはずの女から「私のこと好き?」と聞かれ、「好き」と答える男はいても、その後に「お前は俺のこと好きか?」と返せる男はいない。そんな彼の優しさで、彼女の心は少しずつ癒されていく・・・。時折彼女の心情を短い言葉の字幕でインサートされるのが効果的だ。一生添い遂げるのだけが運命の出会いじゃない、たった2日間でも一生忘れられない運命の出会いもある。出会ったコンビニで別れた2人・・・。まっすぐ前を向いて微笑む彼女の晴れ晴れとした表情が清々しい。
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