東京ゴッドファーザーズのレビュー・感想・評価
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年の瀬の人情あふれるドタバタ劇
年の瀬は喧騒と静寂の振れ幅がとても大きい。孤独を抱える者にとっては人の情、人の温もりがより一層身に沁みる。
ドタバタで有り得ないご都合主義なストーリーではある。でも動と静のコントラストとリズム感、一貫した人間愛とある種の生々しさが、この映画を現実味のある地に足のついたものにしているんだと思う。
とても楽しい映画ではあるが、自分が上辺だけの綺麗さと正しさに凝り固まった、中身がない人間になっていないかと不安にさせられる怖い映画でもある。
深い血の繋がり
【”様々な事情で家族を失ったロクデナシホームレス達三人組の善行。”今作は、今敏監督が親子の絆の大切さを描いたハートフルヒューマンコメディの逸品なのである。】
ー ご存じの通り、今作は名作「三人の名付親」を基にしている。だが、流石今敏監督である。彼ならではの精緻なアニメーションで、スピード感タップリにロクデナシホームレス達が”捨て子”の親を必死に探す姿が、見事に描かれているのである。-
■クリスマスの夜、ゴミ捨て場で赤ちゃんを拾ったホームレスの”の自称”元競輪選手”のギンちゃん、ドラァグクイーンのハナ、家出少女のミユキ。
ずっと赤ん坊が欲しかった元ドラッグ・クィーンのハナちゃんは、その赤ちゃんに“清子”と名付け、彼女の名付け親(ゴッドファーザー)となった彼らは清子の母親を探し始める。
◆感想
・物語はスピーディにコミカルに描かれているが、自称”元競輪選手”のギンちゃん、ドラァグクイーンのハナ、家出少女のミユキが、家族を失い、ホームレスになった理由が背景として語られ、そんな中でも三人が捨て子の赤ちゃんの“清子”の両親を探す姿が、人間性肯定の姿として、観ていて気持ちが良い。
・ご存じの通り、今敏監督作品はSF要素の世界感を持つ所が魅力的であるが、今作は只管にコミカルでファンタジックでヒューマニズム溢れる展開なのが、良いのだなあ。
<今作を鑑賞すると、改めて40代で早逝された今敏監督の幅広い才能を再確認できる。彼の方が遺した作品は、4作のみであるがどれも秀作、傑作揃いである。
日本アニメーション界は、貴重なる監督を失ってしまった訳であるが、今監督が遺した4作品は永遠に残るのである。
今作は、今敏監督が親子の絆の大切さを描いたハートフルヒューマンコメディの逸品なのである。>
素晴らしい作品だった
記念すべき初の今敏監督作品観賞〜
やっと観れた!
しかも劇場で!めっちゃ嬉しい年末💜
毎年クリスマスシーズンに『今年こそは観るぞー🎄』と意気込むものの、配信されてなかったり、レンタルもなかったり、今年は当の12/25に体調不良で寝込んだり、となかなかご縁が無く、半ば諦めかけてたところ新文芸坐さんで上映すると知り、年末の大掃除そっちのけで駆け込み観賞✨✨(これが新文芸坐さんデビューとなりました🌸)
とにかくオープニングから好き!
映像と映画のスタッフ紹介の融合が見事でワワクが止まらなかった🌀
内容については割愛。
あたしの大好物の父と娘ものにキュン。
見事な伏線回収に脱帽。特にギンちゃんの競輪選手張りの自転車捌きに感動!
予定してたクリスマスには観られなかったけど、最後のエンドロールが年末らしく『第九』(しかも替え歌ww)だし、自分にとってはこれからクリスマスよりも年末の定番映画になりそな予感🍀
お墓でお供物探してる時、狛犬いたけど……お寺さんに狛犬っているっけ??
ドタバタほっこりコメディ 偶然や奇跡が重なっていく様がクリスマス、...
まるでジェットコースター
パプリカに続き今監督作品2作目。ずっと見たかったので今回の地上波放...
心が洗われるような作品
20年近く前、当時学生だった自分は夜中、風呂上がりに何気なくチャンネルを回していた。こんな時間にアニメ映画がやっている。どうやら始まったばかりだ観てみよう。それが初めてこの映画を観た記憶である。
当時はこの映画のタイトルも覚えておらず、長いこと忘れていたが10年ほどしてレンタルショップで映画を選んでいる時に偶然出会った。この絵はあの時の映画だと懐かしくなりレンタルして視聴。
やはり面白い。当時は気づかなかった小ネタにも気付けた。
それからは疲れた時には特に観たくなる本作。
リズムカルに話や場面が展開し、非常にコミカル。
捨てられた赤ちゃんを巡ってのドタバタコメディ。
何故だか泣けてくる。しかし悲しい涙ではない。
今監督の作品の中ではダントツに見やすい、理解しやすい作品であることは確かである。
登場人物の個性と流れるような演出の上手さ
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:80点|ビジュアル:75点|音楽:70点 )
物語はわずか数日の中にとんでもない偶然の一致をこれでもかと散りばめたもの。そのあり得ない話の中を、強烈な癖のある登場人物が喋りまくって動き回って動かしていく。
あまりにも偶然が多い物語は普通ならばこんな馬鹿なと思ってしらけるだけなのだろうが、ここまで徹底されると喜劇だし受け入れられなくもない。物語の流れを追いかけることよりは、登場人物の抱える背景にある問題と、それらがこの数日の偶然により大きく変わっていくことのほうが重要。それでも結婚式場で銃撃事件をおこした南米人の行方はどうなったのかは気になった。
その登場人物だが、たとえ心が善良であったとしても所謂普通のまともな善人が主要人物として登場しない。こういう作品に付き物の美男美女もさっぱり登場しない。もっともミユキは今敏監督の中では可愛いという設定らしいのだが、私には特に可愛いとは思えなかった。でも可愛い声の声優ではなくむしろ低い声で、路上生活の中で可愛らしく喋ろうともしないところがこの作品には合っているのかもしれない。ハナを演じたのは梅垣義明で、作品中の声優としては一番印象に残った。
今敏監督の特徴である流れるように進む物語の演出は相変わらず上手い。それを支える背景音楽も、特に綺麗な聞かせる音楽ではないのだけど、物語を動かす要素として良く出来ている。つくづく今敏監督の早世が惜しまれる。
今敏監督のホームレス3人組
今敏監督の「人のつながり」・「偶然も含めた運命」などを描いたアニメーション映画の佳作。
クリスマスの夜に捨て子を拾ったホームレス3人組が、さまざまな感情をぶつけ合いながら、「本来いた場所」と「現在の立ち位置」を対比させることで、「あ~ぁ、人の出会いというのは不思議なもの」だと思う。
また、救急車が店に突っ込む場面などでは「偶然って…」などと思う。
今敏監督の他の作品に見られるようなカラフルさは潜めた感じの画調であるが、その分、しっとりとした雰囲気がある。
相変わらず、「絵」はしっかりとディテールに拘っていることが伝わってくる素晴らしさ。
本編鑑賞後に見たDVD特典映像として収録されていた「今敏監督×岡本綾の対談」は楽しい。
<映倫No.116763>
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