「人生の総決算」東京ゴッドファーザーズ しんぐちゃんぐさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の総決算
2021年の年越しは理由あって、一人だけの年越しとなった。元日の今日は少しだけ実家に顔出した後、キネカ大森の名画座2本立てを、今年最初の映画として選択した。
鑑賞したのは今敏監督、2001年の「千年女優」と、2003年の「東京ゴッドファーザーズ」である。今敏監督は2010年、膵臓癌により46歳の若さで亡くなっており、劇場公開は4作品のみ。いずれも公開時から評価は高かったが、今まで鑑賞する機会に恵まれなかった。
結論から言うと、2作品とも評判どおりの傑作である。日本アニメの潮流を自分は知らないが、媚びない絵柄も出来過ぎるプロットも、大人の鑑賞に耐えて余りある。映像作品としての完成度が高く、本当に惜しい才能を失くしたと痛感する。
残る2作品、1997年の「パーフェクトブルー」と2006年の「パプリカ」も、スクリーンでこそ鑑賞すべきだと思う。その機会は訪れるであろうか。良質な作品を誠実に愚直に提供してくれる、キネカ大森の今後に期待したい。
コロナ禍に明け暮れた2020年は、社会的にも個人的にもターニングポイントとなり得るような、重い1年であった。2021年の自分が果たしてどうなるか、現時点では想像すら出来ない。
けれども、自分が生きた証を後世に残したいとの思いは、年々募る一方である。残された時間は決して長くはない。呑気に映画鑑賞ばかりしてはいられない。根回しばかりの仕事も見切りをつけなければならない。いずれ総決算を迎えるため、今年はその思案と準備に費やしたいと考えている。
コメントする