「傑作!ジブリっぼくないヒロインが魅力的!」海がきこえる やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作!ジブリっぼくないヒロインが魅力的!
この作品が初めてTV放映された当時、私は社会人一年目でした。たまたまですが、リアルタイムで視聴できてます。
個人的にはバブル崩壊で景気が急速に萎む中、タイミング的にギリ就職出来て良かったと安堵する一方、この作品に確かに存在する眩しく美しくしかも尊い青春は、高校、大学通じて結局、印象的なものは特に無かったなあ・・・としてはいけない比較をし、その壮絶過ぎるギャップに頭がクラっとした記憶があります(笑)。
そもそも、普通高校で男子校ってのがあり得んだろうが・・・って今でも故郷の教育制度を逆恨みしてます(笑)!
話が脱線して申し訳ありませんでしたが、確か後にソフト化されレンタルビデオ?できちんと再鑑賞してから、その名作、傑作っぶりに改めて驚愕した記憶があります。なんで劇場公開しなかったんだろうと不思議にも感じました。今思えばその理由は、おそらく未成年の飲酒シーンとビンタとかグーパンとか安易な暴力描写でしょう(笑)。
そして今回、なんと初見から32年後にリバイバル上映で初めて、私にとって趣味の本丸である映画館で鑑賞した次第です。
当方の歪んだ青春から生じる思い出補正の作品の美化をまず疑いましたが、実際鑑賞したらむしろその逆でした。見落としていたこの作品の素晴らしいポイントが何個も再発見されたのです。
特にその演出面、カメラワークですが素晴らしかったです!画面構成含めて非常に細やかで繊細な演出がなされていて、キャラ表情の変化や動きに「派手さ」はなくても、そのシチュエーション、心情がダイレクトに心にじわっと伝わってくるイメージです。昨今の音楽やらなにやら過剰にブーストして、演技は大声で泣き喚けばいいみたいな、そんなチープな演出は皆無です。
またヒロイン像もいわばジブリっぽくなくて最高です!
今作のヒロイン武藤里伽子は容姿端麗、文武両道、自身で弁当作ったり家庭的な側面もある当時でいうなら「キャリアウーマン(死語)の金の卵」的存在と思いました。
そしてよく言えば竹を割った様なさっぱりした性格だけど、悪くいえば自己中で協調性はほぼゼロ!彼女の周辺に対して頭ん中の棘のあるワードを意図的に攻撃や拒絶目的でオブラートなしで使うあたり、社会性の欠如や精神的な幼さも想像されます。
彼女は裕福ではあるが複雑な家庭環境で育ち、高校生活の短い期間に将来を決めなければいけない今、その環境は良化どころかむしろ現在進行形で悪化し彼女の理想からどんどん外れていったように思えます。その焦りと不安で精神的に不安定な中、とてもじゃないけど周囲に溶け込む為の労力をさく余裕なんてない・・・と合理的に考えるのは仕方ないかなと、やっと思える境地?となりました。
また彼女を取り巻く甘酸っぱい恋愛模様?以上に、清々しく美しかったのが主人公の杜崎 拓と松野の友情ですね。親友の好きな子があるきっかけから、自分に急接近してきて危い状況になるってのは、都市伝説レベルで存在は確認されております(笑)!しかし、それが仮に自分におこったら理性がもたず無理ですわ・・・どっちも聖人レベルで崇めたいです。
特に松野は本当に偉い!人間出来すぎていて怖いくらいです。私見ですが松野はクラスのリーダー格で一時、里伽子と対立した清水さんがお似合いと思うし最後、居酒屋で良いポジションに居て繋がりそうで良かったと思いました。
各キャラが卒業後、恋愛やら勉強やら将来の不安やら、各自いろんなしがらみから解放されて本音で語り合えてるのがとても安堵感ありました。同窓会は女子は見違えるほど綺麗になり(笑)、その場に居るような高揚感がとても心地良かったですね。
ジブリ作品の中で、男女の恋愛をファンタジー描写に逃げることなく真正面から描ききったという点で、唯一無二の傑作と改めて思いました。
できればぜひ、映画館でご鑑賞ください。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。