「キョウダイ」蛇イチゴ きのこの日さんの映画レビュー(感想・評価)
キョウダイ
個人的には「キョウダイ」を描いた作品なのかなと。
監督は兄弟がいるのかな?
「ゆれる」含め兄弟的な作品を描かせたら天下一品だと思った。
キョウダイって不思議で。
死ぬほど嫌いで興味なくて、だけど大切。でも同族嫌悪。だけどほっとけねー。
どっかで信じてしまう。
2時間弱正直なんの盛り上がりもないというかそんな感じなんだけど、
共感する人が見ると揺さぶられる。そんな映画。
日本映画っていいなって思いました。
わたしは日本人なので、やっぱ正直外国の映画見ても気持ちが深いところまで分からない。
※決して外国映画を馬鹿にしているわけでもなく、人種的なもんだいを述べているつもりもありません。
日本人的な兄弟のしがらみとか、家のうんぬんかんぬんとか、そーゆーの苦しい。
そーゆーのを真正面から描かれると逃げてた現実を突きつけられてしまう。
日本人の家族は遠慮をしているからほとんどの家庭が幸せにみえるさ。
だけど、きっとほとんどの家庭がそう見せたいだけさ。
宮迫さんさ、正直演技くさいから好きじゃなかったんだけど、良かったです。
自然にそこに居ましたね。
ただ、印象的なシーンは宮迫さん関係なく。
手塚とおるさんとつきみみほさんの会話から。
上述の通り、日本人は見栄っ張りさ。
いい家庭。仲のいい家庭が好きさ。作る。
だから作る。だから、その中にいる家族すら気づかない。
手塚さん演じる鎌田さん。明智家に訪れ感動します。
暖かくて、貧しくても、自分の家にないものが明智家にはあると。(鎌田さんは金持ち)
だけど、おじいさんの葬式の日に知ります。
彼女(つきみみほ 明智倫子)の父(平泉成)が、いつのまにか会社を首になり借金まみれになっていたこと。
そして、彼女に言います。
俺は騙された気持ちだと。
それに倫子はいいます。
私だってなにも知らなかったと。騙されたというなら私も同じだと。
家族は素晴らしい。
困ったら無償の愛で支えてくれるのが家族。
それは私は今でも思います。
だけれども。
ボランティア集団が必ずしもお互いのことをすべて知っているわけではないように。
家族も、お互いのことをすべては知らない。
だから裏切られるし裏切る。
だけど、西川美和さんのにくいところ。
いつもテキトーなことを言って、本当のことなんて何も言わなかった兄(宮迫博之)が、
最後の最後に、蛇イチゴを食卓に置いて帰る。
※小学生のころ倫子に蛇イチゴがうまかったと場所を伝えたが倫世がたどり着くことができず泣きじゃくり、大騒動となり、今でも倫子は兄のウソだったと思っている場所に生息している蛇イチゴのこと
そのシーンがなかったらさ、「いくら血がつながっているキョウダイだって裏切るし裏切られるさ」で終わってた。だけどそのシーンあるからニクイ。
キョウダイって、家族ってほんと不思議。
行ってしまえばただ血がつながってるだけ。
なのに、ほっとけないし悲しい顔は見たくなくて、そんでやっぱほっとけない。
困っちゃう。
根元をただせば、同じとこから育った木でそこから増えた山でしょう。
だけど隣にいるあなたのことも、あなたが生きる未来も、
そして自分が進む先も、雲がかかってよく見えない。
それでも、あなたが進む先がまっすぐで美しいものであるようにと願う。
それは、つまらない私という人間が持っている、唯一の優しい気持ちかもしれない。
どんなに私が落ちぶれても、つまらない人間になっても。
あなたの悲しい顔は、見たいとは思わない。
それが血がつながった家族かも。