壬生義士伝のレビュー・感想・評価
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新選組の隠れた剣客をラスト・サムライとして描いた感動巨編…の映画化
本作を〝泣ける映画〟の一つに上げる人も少なくないが、浅田次郎の原作こそが涙なくしては読めない小説なのだ。
1998〜2000年にかけて週刊文春に連載されたこの長編は、浅田次郎にとってはじめての時代小説だという。
この小説をどうまとめるかという脚色の工夫が見せどころだが、中井貴一と佐藤浩市に〝おんぶに抱っこ〟感は否めない。
史実が背景にある物語で、しかも新選組が舞台となると、誰もが知っているキャラクターが大勢いる。その中でそれほど有名ではない吉村貫一郎を主人公にしているから、有名人を出さないわけにはいかない。2時間程度の一編に彼らを散りばめつつ、激動の時代を見せなければならないのだから大変だ。
その結果、やや散漫かつ説明不足になってしまったようで残念だ。
この映画に先んじて、テレビ東京がテレビドラマ化していて、渡辺謙・渡辺大の親子に一人の主人公を演じさせて話題になった。このドラマは新春恒例のワイド時代劇(放送枠10時間=正味8時間半ほど)の長尺だったにも拘らず、新選組において武士の義を貫く吉村貫一郎の立ち位置に的を絞ったうえで、関わる新選組隊士たちも整理されていてアレンジが上手かった。
これが先にあるので、アプローチを変えなければならない制約があったとは思う。
さらに、当初監督の予定だった相米慎二が急逝したという不測の事態もあった。
(脚本が中島丈博だから、監督が相米慎二だったら『あ、春』のコンビ)
明治の末期に偶然出会った斎藤一(佐藤浩市)と大野千秋(村田雄浩)が語り手となって、斎藤一から見た吉村貫一郎(中井貴一)と、斎藤一が知らない吉村貫一郎を見せていくアイディアは良い工夫だったと思う。
しかし、残念ながら斎藤一が吉村貫一郎のどこに本当の侍を見たのか、吉村貫一郎が何をモットーとして生きてきたのか、この物語の根幹の部分に迫れていないと感じた。
映画は吉村貫一郎切腹直前のモノローグが感動の頂点で、中井貴一が一人芝居で映画を締めているのはサスガだ。
ところが、最後の最後に老人斎藤一が盛岡弁を口にしながら去っていくのが、なんとも陳腐な印象を残してしまった。
谷三十郎(神田山陽)・近藤周平(加瀬亮)兄弟の挿話は、斎藤一の闇討ちを吉村貫一郎か見抜くエピソードとして必要だったかもしれないが、中途半端に尺を食っているから、もっと大胆な削り方をしても良かったのではないだろうか。
逆に、斎藤一の情婦ぬい(中谷美紀)を絡めて吉村貫一郎と斎藤一の関係を描いたのは悪くなかった。ただ、斎藤一の人物を描くほど吉村貫一郎の人物が描ききれていないので、どこに尺を割くかは微妙なところ。映画の色付けとして中谷美紀のパートは貴重ではあった。
それにしても…
沖田総司に美剣士のイメージを定着させたのは司馬遼太郎だろうか。早逝しているからか、美“少年”的なイメージも定着している。
本作では堺雅人が沖田総司を演じているが、浅田次郎の小説では斎藤一は沖田の2歳年下の設定であり、歴史の資料から見ても沖田の方が年上か、せいぜい同い年なのだ。
堺雅人だと、佐藤浩市より10歳以上若いことになる。
もっとも、沖田も斎藤も壬生狼時代はまだ20代だったのだけれど…。
新撰組の話を知らなくても、OK
一言「2時間半、たっぷり堪能」。
2003年作品、とにかくみなさん若い(堺雅人さんが沖田総士役だったり)。
浅田次郎さんの原作も、新撰組のことも知らないので、ふむふむと。
ユニークだなと思ったのが。
原代(明治32年)を生きる人々の、回想シーンで進む話。
主人公・吉村貫一郎が、脱藩してまで新撰組に入った話や、その人柄。
南部訛り(字幕で鑑賞しないとわからん!!)の、優しい言葉の裏に。
脱藩してまでなぜ戦う理由。
同じく新撰組の斎藤一の視線からみる話も。
吉村の人物像を濃く出していて、考えは相反するけど仲間。
愛する人や国を守るため、闘った人たち、残された人たち。
その思いが現代に続いているラストシーン。
この人ここで出てくる・・・!とちょっと驚き。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「見送りの言葉を、言ってはならぬ」
中井貴一と佐藤浩市、渾身の一作。おもさげながんす。
2003年公開。松竹。
相米慎二が亡くなったため、滝田洋二郎が監督を務めた。
脚本は、中島丈博。
主なキャストは、
中井貴一演じる吉村貫一郎、佐藤浩市の斎藤一。
二世俳優の代表格のふたりが、重厚な演技を見せる。
ほかに、三宅裕司、夏川結衣、中谷美紀など。
新選組を軸に据えた、浅田次郎の小説を映画化したもの。
中井貴一、佐藤浩市の役作りが本当に見事だ。
ふたりの代表作と言えるだろう。
吉村貫一郎のぶれない強さを演じた中井貴一に対して、
斎藤一が徐々に吉村に惹かれていく様を佐藤浩市は見せた。
甲乙つけがたい共演だった。
三宅裕司もよく頑張ったが、
中井貴一と佐藤浩市の出来が素晴らしすぎて
相対的には少し物足りなく感じたのだが、
悪いわけではない。
脚本も素晴らしいのだが、
キャスティングが作品を一段高いところへ導いた。
切腹シーンの長さ(くどさ)も、許せてしまう完成度。この域に達する作品は稀有。
名もなき武士の誇り
新選組において、近藤、土方、沖田、斎藤は広く知られているが、吉村貫...
人生で初めて泣いた映画
中井貴一が素晴らしい
中井のキャラクターが素晴らしかった。夏川さんも良かった。晩年の佐藤...
中井のキャラクターが素晴らしかった。夏川さんも良かった。晩年の佐藤も。家族思いの優しさと、義を貫く厳しさの両方があることが稀有。役者としても。盛岡弁の優しい語り口も素晴らしい。ただ、やはり2枚目ではない。
いまいち、なんでこの道を取らなくてはならなかったのか、よくわからなかった。貧乏だから、新選組に入って金稼ぐしかなかったという話か?
家族を愛する吉村貫一郎の生き様から目が離せない。中井貴一の名演が光...
戦争の予感が迫るなか、どのように生きるのかを考えさせられる映画でした
号泣しました
愛と命と誇りをかけた男の生き方
それが義なのでしょう
ウクライナの戦争、北朝鮮のミサイル
日本も戦争から無関係ではなくなりつつあるように思います
そんななかでどのように生きるのかを考えさせられる映画でした
配役が見事です
特に新撰組の幹部は説明も台詞も無くても一目で誰が誰だかが分かります
違和感のある配役は誰もいません
特に、堺雅人が演じた沖田総司は飛び抜けてはまっています
今までにみた最高の沖田総司だと思いました
新撰組の剣戟の迫力も素晴らしい映像でした
壬生とはもちろん京都の地名
紅葉で有名な嵐山からなら嵐電の市内方面の終点四条大宮駅、または河原町駅から阪急京都線で二駅の大宮駅から西に徒歩10分くらいの辺り
JR 丹波口駅なら北に徒歩10分強の辺りになります
そこに冒頭にでてきた新撰組の屯所があったのです
「新選組発祥の地 壬生屯所旧跡 八木家」として京都市指定有形文化財になっており、見学可能です
そこから南に20分程歩くと、超有名な郭街の島原です
いまでは普通の住宅街で僅かな痕跡が残るのみです
それでも島原の大門、揚屋の角屋、置屋の輪違屋の建物が残っており、見学も可能です
その角屋が、本作の序盤の宴会の場所であったと思われるところです
夜の雨中、斎藤一が吉村貫一郎をいきなり斬りつけるのは、その角屋から屯所への帰り道
おそらくJR 丹波口駅辺りであろうと思います
本作を観て感動されたなら、壬生、島原の散策がお薦めです
近年、島原の立派な料理旅館がリノベーションされて、そこの大浴場がスーパー銭湯として一般にも利用できるようになっています
和食レストランもありますから、散策のあと湯に浸かって汗を流してさっぱりして、食事と酒を召し上がりながら本作のことを思い返すと感動も新たにより深いものになること間違いなしと思います
監督のやる気の無さが出てる
こういう義にあつい人の多くが命を散らしたのだろうな
義とは
ながやす巧の功績
原作は浅田次郎。 「鉄道員(ぽっぽや)」が個人的には好きではない映画なのでちょっと心配だった。浅田次郎の原作は2つしか知らないが、 ほとんどが悲惨な話なのかなあ。
BSテレ東で映画「壬生義士伝」を見た。
劇場公開日 2003年1月18日
2002年製作/137分/日本
配給:松竹
滝田洋二郎47才
中井貴一41才
佐藤浩市42才
夏川結衣34才
中谷美紀26才
山田辰夫46才
堺雅人29才
原作は浅田次郎。
「鉄道員(ぽっぽや)」が個人的には好きではない映画なのでちょっと心配だった。
予備知識なしで見たので、
物語が新選組に関するものだということさえ知らなかった。
吉村貫一郎(中井貴一)は岩手県盛岡・南部藩出身の侍。
おっとりしたお国訛りから田舎くさい人物かと思われたが、
剣を握ればめっぽう強い。
文武両道のかっこいい人物で、
藩主の結婚相手であった、しづ(夏川結衣)を娶るほどのイケメンだった。
その人物がやがて剣では家族を養えなくなる。
妻が口減らしのために入水自殺を企てるありさまだった。
彼は脱藩し、新選組に志願して金銭を得ようとする。
理想と現実の乖離は大きく、吉村貫一郎は落ち武者のように
命からがら京都から藩に逃げ帰る。
脱藩は大罪で、藩主には切腹を命ぜられる。
あれだけかっこよかった映画冒頭とは違い、
ラストは家族とも会うこともなく孤独に絶命する
吉村貫一郎が哀れでならなかった。
浅田次郎の原作は2つしか知らないが、
ほとんどが悲惨な話なのかなあ。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
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