千年女優のレビュー・感想・評価
全23件中、1~20件目を表示
名作は色褪せない。
10年ほど前に一度鑑賞し、物凄い強烈な印象が残っていた本作。当時は今敏監督という有名監督のことも知らず、単純に「友人に勧められたアニメ映画」として鑑賞していました。時が経ち、映画の知識も深まった今になって、地元の映画館でリバイバル上映されると聞きつけて鑑賞いたしました。
結論、やっぱり面白かった!!!
現実と回想と作品の境界が無くなっていくような不思議な世界観で描かれる、藤原千代子という女優の生涯。最後には温かい気持ちになって終わる。本当に良かった。
今は亡き今敏監督の作品が、2024年に映画館で鑑賞できるなんて夢のようでした。おそらく私以外の観客も今敏監督のファンのようで、半分以上の座席が埋まるくらいの観客がいたのに、スタッフロールで席を立つ人が一人もおらず、上映終了後に誰一人として会話せずに黙って劇場から退出するのが印象的でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かつて一世を風靡したが、人気絶頂の30年前に突然芸能界から姿を消した人気女優・藤原千代子。彼女の行方を突き止めた小さな映像制作会社社長の立花は、ドキュメンタリー作品を製作するために、彼女が隠居生活を送る山奥の屋敷まで取材に訪れた。今まで取材を全て断ってきた千代子が立花の取材を認めたきっかけが、立花の持参した一本の古びた鍵。立花から鍵を受け取った千代子は、彼女の半生と、その鍵にまつわる思い出を語り始める。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とにかく展開が目まぐるしく、今自分は藤原千代子の回想を観ているのか、現代の話を観ているのか、映画の情景を観ているのか、分からなくなります。鍵にまつわる思い出話を語っていたと思ったらいつの間にか彼女が演じた映画のワンシーンの描写になってたり、過去の回想の話をしていたと思ったらいつの間にか現代のインタビューシーンに変わっていたり。今敏監督の作品『パプリカ』を観た時に感じたような、夢と現実の狭間が曖昧になっていく不思議な感覚を味わいました。
かつて一度だけ会った名前も知らない画家の男から預かった鍵。再び彼に出会うために奔走する一途な千代子の描写は胸を打たれます。ずっとずっと彼を追い続けてはいたけど、長い時を経て彼の顔も思い出せなくなってしまうシーンの何とも切ないこと。
今敏監督の独特な世界観にマッチした平沢進氏の楽曲群も素晴らしい。主題歌の『ロタティオン(LOTUS-2)』だけじゃなくて劇伴も彼が担当しているそうですが、劇中の要所要所で彼の音楽が聞こえてくるとテンションが上がりますね。私がファンだからという贔屓目もありますが。
とにかく本作は言葉で表現するのが非常に難しい作品です。「とりあえず観てくれ」としか言いようがないですよね。
オススメです。名作です。ぜひご覧ください。
恋の始まり 千年の終わり
原節子(1920-2015)
その可憐さで「永遠の処女」と呼ばれた
戦前・戦後の日本を代表する女優
小津安二郎監督が大変重用し
「青い山脈(1949)」「東京物語(1953)」などの
名作に多数出演も
1963年早世した小津安二郎監督を
弔うと突然女優業を引退し鎌倉に隠居
その理由は
「老いた姿を見せたくなかった」
「健康上の理由」
「戦中に戦争参加した責任感から」
など色々言われたが
最後まで明かされなかった
公の場には映画関係者の葬儀にひっそりと
姿を見せるのみだったという
その美貌に生涯独身を貫いたことから
「日本のグレタ・ガルボ」とも言われている
千年女優はこの原節子
(厳密には昭和の名女優のエピソードと
含まれるが)をモデルにした
藤原千代子が一人の男性「鍵の君」
を追い続けた女優人生を入れ子構造で
継ぎ目なく追った作品
この作品は5年前に特別上映で観て
今回久しぶりにまたやるので
観に行ってきました
やはり面白い
ホントこの作品一度始まったら
最初から最後まで一気に突っ走る
金曜ロードショーでCM挟んだら
絶対ダメな絶妙のテンポ
いちいち止まらない
千代子の映画の中に
立花と井田が入り込んでしまう構造
負傷した政治犯「鍵の君」が
落としていった鍵を握りしめ
彼を追いかけて女優となり逃亡先の
満州の撮影に向かうひたすら
彼を追いかけ走り続けるキャリア
そして焼け落ちる城で捕らわれた
彼に必ず会うために老婆から
千年長寿酒をあおり受けた千年の呪い
5年ぶりに観るとそれらは
すべて千代子の内面として
表現されてるんだなと思いました
男と千代子を結びつける「鍵」
生きているかどうかもわからない
鍵の君を追いかけ続ける「呪縛」
作品の中でも追いかけ続け
次第に年老いていく自分
どんどん入ってきます
そして物議をかもしたラストのセリフ
"だってあたし
あの人を追いかけているあたしが
好きなんだもの"
一途に追いかけていた
と思っていた人は肩透かし食らった
そうですが自分は
女優も自分を客観的に映像として
観れてしまう仕事でしょうから
何の違和感も感じませんでした
それをやる自分が好きでなければ
それは続けられない
鍵の君を追いかけることだけが
生きがいではなかった
これほど力強い前向きな終わりは
なかったのではないでしょうか
今敏監督作品一通り好きですが
やっぱりこれが最高傑作かなぁ
夢と現を混ぜ合わせる今敏監督の真骨頂!
劇場で初鑑賞。
凄い!どのカットも美しい、カッコいい!
とにかく圧倒的な画力と演出!
鑑賞後は頭の中がグルグルになり放心。
↓上手く言語化出来ないが、この映画で凄いと思った点を書いてみる。
各パートの構成が、
====
会話(回想)→男を探そうとする→お局やら諸々トラブルに水を差される→(オッサンに)助けられる→最後は走る!→次の舞台(年代)に!→振り出しに戻る
===
という大体同じ展開を繰り返している。
ただ繰り返すのではなく、
舞台を変え、年代を進め(歳を重ねて)、少しずつ千代子の過去を明らかにすることで、ループではなく螺旋的な構造で話が展開していく。展開に音楽のようなある種のリズムが生まれてくる。
各パートの凡庸な会話劇から、ラストの走るシーンにかけ段々とテンポアップし、最後は有無を言わせない超絶作画と演出の力技でグアーっと盛り上げる展開は、正に映画を使ってロックサウンドを奏でているかのようで圧倒されっぱなしだった!
そして各パートの疾走シーン!
背景と作画が圧倒的なのは勿論、
下手から上手へ、ほぼ横一直線のカメラワークに統一することで、ラストの走馬灯シーンで見事に絵が繋がる!
正直、台詞とか会話パートが紋切型すぎやしないか?と思うことはあったにせよ(これはあえて劇っぽくしているのか?)、
兎に角、アニメーションの力で凄い映画を作ってやるんだという、監督の気概が伝わってくるようだ!
これはリアルタイムで劇的で見たかった〜。
本当に惜しい監督をなくしてしまった。
あくまで個人的な意見で、
エンターテイメント長編映画としてアニメを作るのなら、日本では今敏監督を上回る作家はいないのでは、、と改めて思うに至ってしまった。
平沢進を知った映画
初見は確か20年くらい前にDVDで観て、ラストの追いかけてる自分?私?が好きなの、のとこからのLotus2の曲の印象がずっと残っていて、多分、これで平沢進を知ったと思う。その頃はすごい曲だなぁ、でも何か怖いなくらいに思っていたけど、今は平沢進の曲ばかり聴いてるせいか、BGMが流れるたびにぞわぞわした。会社もLotusで、睡蓮って意味ですと曲寄りの感じがした。
あの頃観た時は死別の感じを知らなかったけど、ラストで千代子さんが亡くなる際、あぁ鍵が戻って良かった、と思った。
空想と現実とが入り乱れて、唯一無二の作品で、改めて観ても面白かった。あのあやかしのお婆さんは、どういう事だったんだろう、とは思った。
薄っぺらい
恋愛を描いているようで、謎の男とは一晩かくまっただけの関係で、ひとめぼれみたいなものだ。鍵も結局なんの鍵か不明なままの空手形だ。千代子が走ったり突き飛ばされたりする場面が時代や場所、状況を変えて繰り返される。名作映画のオマージュがこれでもかというほどがんがんあって、その走ったり突き飛ばされたりの連続をやりたくて、物語や登場人物を後付けしているのではないだろうか。絵面が先にあって、それをドラマとして成立させるための恋愛や執着、人生、人物なので空疎なのだろう。
退屈はしないし、画面は見事だ。
すごいアニメーション映画だ…。
気になってた作品だったので期間限定のリバイバル上映を機にありがたく鑑賞。結果、劇場で観て正解だった…。
女優であり、一人の男性をひたむきに追い続けた女性、千代子さんの実際の思い出、彼女の出演作のストーリーや演出、そしてインタビューを受けている現実が行ったり来たりしながら混ざり合って進んでいくストーリーと制作者のイマジネーション。圧巻だった…。
宇宙のロケット発射のシーンから始まって、どう話が進むのかと思っていたら終盤に見事にそこを回収し繋げてくる。1本のアニメーション映画作品として本当に素晴らしい。
作中での千代子さんのインタビュアーであり、彼女の過去を知るファンでもある立花とその助手が、彼女の思い出と現在を繋ぐ構図がまたうまいんだよな…。
ともすれば過去に入り込みすぎる千代子さんと立花を、立花の助手がツッコミを入れたりすることで現在のバランスが取れるようになってる構図もうまいなーと驚く。
構成と表現の巧みさに素人ながら感動してしまった。
今敏監督作品は「パプリカ」も観てる人間なんだけど、現実と非現実の境目を消してくるアニメーション表現が本当に上手い方なんだなあと改めて思った。
そして本作はやはり千代子さんという格となる人物がとても素敵だった。
女優としてのシーンもあるために平安から現代までの様々なファッションで登場する彼女は、いつでも脇目も降らずに「鍵の君」を追いかけていて、その目は彼を捉えるために前を向いている。
彼女の澄んだまっすぐな瞳が最後まで印象的だった。
また、あの人を追いかけて
リバイバルにて、何気に今敏作品は初鑑賞。
20年以上前のものとは思えないくらい、非常に面白かった。
どこが現実でどこが映画だとか、回想での源也たちの立ち位置だとかは考えない。
もしかしたら正解があるのかもしれないが、雰囲気に身を任せる方が楽しめると思う。
カットの繋ぎが抜群に上手いので、場面の切り替えさえ面白く観られた。
単純に言ってしまえば、一人の女性の執着とも取れる一途な悲恋のお話なのだが…
特殊な構造と演出によって、いま観ても新しいものになっている。
「明日に希望のある十四夜の月が一番好き」という台詞が、千代子の人生を肯定してくれるのも素晴らしい。
(「あの人を追いかけている私が好き」と台詞にしてしまったのは少し残念)
最後まで鍵の君の顔が描かれないのも、老いた千代子目線での意味のある演出。
ところどころ声とのズレはあったけど、口元が目茶苦茶よく動いていたのも印象的でした。
個人的には千代子のキャラデザと衣装がとても好み。
特に女学生時代の、ロングコートの裾から更に10cmくらい長いスカートが揺れる様はぶっ刺さります。
(世の女性がた、是非冬はあの格好をして下さい)
再上映されてて良かった!
『千と千尋の神隠し』と同じ時代だからジブリの影で、タイトルも松本零士の千年女王に一字違いはなにそれって当時は思って観てません。
けれど何これ?女優のインタビューが当時にタイムスリップしたかの如く再現されて、時代を現実と映画が交錯して、この千代子さんは女優ですねとワクワクする話でした。
千代子さんの70代の声を担当された声優さんが女優の誰かさんに似ていて(勘違いかもしれないけど女優声です。)、あぁこの声は映画の昔の世界に引き寄せてくれるって楽しんで観てました。
映像も当時海外に作らせた中でも良かった方(2001年作)ですよね。中国や海外に制作を依頼が増えて、出来映えは日本人に制作させたモノより落ちるという信仰が全部本当じゃないってわかる良作でした。
傑作
追い求め続けること。
どれだけ困難でも、万人から後ろ指をさされたとしても、自分の道を貫くこと。
映画のテーマとしては極めて難しいものだと思いますが、エンターテイメントとして非常に見事なかたちで落とし込まれていました。
プロットや演出、音楽など一本の映画という枠を最大限に使いそのテーマを表現しきった監督の唯一無二の才能を感じされられましたし、
自らその道を歩み、自身を以て体現されている人物だからこそ出せると思わせる力強い説得力がありました。
これほどの映画を劇場で鑑賞する機会があったことが非常に幸運だったと思います。
見応えのある映画
Filmarksのリバイバル上映で鑑賞。こんなに見応えのある映画だとは思わなかった。立花が既に亡くなっていた事実を知らないまま、千代子は過去の映画撮影を夢見て、宇宙の彼方まで立花の事を追い掛けて生涯を終える。
千代子が途中で気づいた、あの人を追い掛けている自分が好きだという自我も、顔を思い出せなくなったという、立花を追い掛け続ける動機を補完しているように思う。
映画を見ながら、「可愛い」と言ってる自分が好きだという女の子の心理について思い浮かべた。それが可愛いと思っている本心を否定しているわけではないように、立花を追い掛けている自分が好きだと気づいた千代子も、一方で純粋な思いを否定しているわけではないのだろう。
キャラクターデザインや表情の描写も素晴らしくて、顔がスクリーンでアップになってもがっかりさせられる事はなかった。浜美枝さんや若林映子さんといった往年の女優の半生も彷彿とさせる。黒澤明の青年時代に似た人物も登場する。あの時代の日本の映画人の造形が、上手く再現されているように感じた。
"永遠に夢見る少女の物語…"な映画
ラストのセリフで一気に興醒めにしてしまう稀有な作品でした…笑
「3分前に流した涙を返せ!」って思わず口から出そうになりました笑
結局は、恋に恋している自分が一番好きだなんて…
まっ、いいか…。
岡田嘉子さんの人生をインスパイアしていると思った。
岡田嘉子さんの人生をインスパイアしていると思った。
監督を含めて、千年持つような人(監督、男優、女優)はいませんね。日本には。
せいぜい、朝ドラの周期で人気が変わる。半年だね。
「その狂気にも似た無垢な愛」ホントそれ❗
レビュワーのCBさんとkossy さんにオススメされて、でもnetflix やamazonプライムに配信ないし観るの難しいな~、amazon で買うにもアニメの円盤って普通の映画に比べてやたら高いしな~、なんて思ってたら輸入盤blu-ray だと半額なのを発見。というわけでポチってしまいました。輸入盤って普通のプレイヤーで観れるのか心配でしたが無事観賞する事ができました。良かった良かった。
というわけで「千年女優」です。やー、兎にも角にも映像が表現が素晴らしい。現実と虚構の世界が時を越えてシームレスに行ったり来たり。特典のインタビュー観てたら外国人の記者から「何故実写で作らなかったのか?」と度々質問されたみたいなのですが、こんなん実写で出来るわけないやん❗アニメだからこそ出来る映像表現に目を奪われます。なんか今敏監督ってホントに映像作家って言葉がピッタリ当てはまる作品作りしてたんですね。
でも映像は綺麗だったのですが、観ててずっと千代子さんに共感できなくって。なんかこの人はいくつになっても恋に恋してる自分に酔ってるだけなのでは?っとけっこう冷めた目で観てた所で最後のセリフ
『だって、私、あの人を追いかけている私が好きなんだもの』
ってお前がそれ言うんか~い!Σ( ̄□ ̄;)と思わずツッコんでしまいました。
で、観終わった後に検索してみるとこの映画のキャッチコピーが「その狂気にも似た無垢な愛」という事を発見。「ああ、なるほど。監督は観客がどう思うかも全てわかった上で作ってたんだ」と、してやられた気分です。まさかその愛が自己愛だったとはねぇ。やー、上手い事作ってありますね。見事に手のひらで転がされた感じがあります。
でも、ずっと千代子さんに憧れを抱いていた源也くんは純粋な愛だと思います。
映像表現も物語の最後のひねりっぷりも本作が20年も前に作られていたってスゴい事ですよね。完璧に日本人向けの内容なのに不思議と海外でも評価が高いみたいですし。邦画はあまり観ないので語る事はできませんが、もしかすると日本人における映画作りの才能って現在はアニメに集中しちゃってるのかもしれませんね。
そういえば千代子さんの年齢毎にちゃんと違う声優さんを使っていたのはポイント高いです。宮崎駿監督も見習ってー‼️
やっと見れた〜
今までMAD見ても一体何の話なのか全く見当つかなかったのでわくわくした。
話が始まって、回想で登場人物が入り乱れ始めてから、へ~こんな感じで話を進めるんだ~とわりとすんなり話に入っていけた。シーンが突拍子もなく、現実と回想で台詞まで含めて混ぜ込まれるのに、混乱しない作りはすごい。
不思議で見てて面白い。
ラストは正直言うと好きだった。少し拍子抜けしたけど
立花は、千代子のひたむきに誰かを追いかける姿がきっと好きだったんじゃないかなと思ったから、その人生を本人が好きって言ってくれて良かったと感じた。
何かを追いかける人の姿って眩しいし、何を追いかけてるのか傍目から分からなくても魅力的。千代子が自分の人生を「嫌になった」って言わなくて良かったって思っちゃった。
千代子もきっと楽しかったと思う。
死んでも追いかけてそうだ。好きなことなんだから。
そう思うと千年女優っていう題名も、何だかずっと追いかけてる千代子を想像して好き。
主人公が女優で、役柄戦国時代のお姫様やら宇宙飛行士やらの姿で出てくるから、過去、現在、未来までほんとにずっと一人を追いかけてきたみたい。
本当は千代子の人生70年なんだけど、見てて面白い。
それでキャッチコピーは見た後知った。
「その愛は狂気にも似ている」ってあったから、あれそんな強烈なやつなのか!とびっくりした。
面白い作品だからこれ色んな解説とか考察本とか出てそう。見た後もわくわくするなんて見てよかった~。
千年女優
最初、千年間生き続けた女優の話かと思った。
実際は1人の女優が役を通じて千年の時を過ごしたという意味だった。小学生の頃会った男を想いつづけるパワーは凄いと思ったが、「実は既に死んでいる」という事実を何となく察しているのにも関わらずガラスに写る自分の顔を見て老いを感じ隠居する。
というのは何とも難しい感覚であるなと思った。
恐らく亡くなっているが自分の中で生き続けていて、自分の中で生きている彼に会う事を想像してという事なのか。
なぜ千年「女優」なのか、ラストでわかります。
※2024.01.21. 二回目の鑑賞。【シネリーブル梅田】
①フランスの友人から一番好きな日本のアニメ映画として薦められた作品。楽しめました。②とてもcleverなplot. 戦前からのスター女優(「原節子」がモデル?)の一生と、彼女の一連の主演映画(オマージュが沢山あってモデルとなった映画を知っていれば尚更楽しい)と、戦国時代以降の日本史とが目まぐるしく交錯する筋立てにグイグイと引き込まれる。③随所にヒネリがある映画だが、最高のヒネリはラストのヒロインのドライな台詞。最後の最後まで初恋の想いを貫く女性の純愛ものと思わせながら(裏返せば実は立花の純愛ものである)、最後の最後で彼女が生涯を通して貫きたかったのは実は「女優」であることの自己愛(自己嫌悪と表裏)だったのがわかる或る意味映画の風景を180度変えるオチが心憎い。④そうそう、「14番目の月」ネタがありましたね。勿論、映画の主幹に関わっているテーマでもあるけど、今監督はユーミンのファンなのかな(私と同世代!だし)
ラストまで
彼女の世界だった、ただそれだけのこと
蜘蛛巣城オマージュはセンス良かった
マクベス…
ラストの「追いかける私が好き」の
一言にはただただ拍手
よく分かってるなぁ女性を
人を愛する、というより恋をする
その人の背中を追いかける私がなによりも好き
女優というより女性の価値観
パプリカ→東京ゴッドファーザー→今作と
時代を遡って監督を追いかけたが
やっぱり生き生きしてて好みだった
千年間は彼女のものだった
おもちゃ箱ひっくり返す
なんていう稚拙な喩えでは申し訳ないのだが、引き続き今敏監督作品を連観である。今作は打って変わって脳内冒険活劇ってイメージか。多分、大スター『原節子』をイメージした主人公の人生を演じてきた芝居とシンクロするように、めまぐるしい場面展開の末、主人公がその生涯を閉じるという粗筋だ。
場面展開の妙や、ストーリーの楽しさは理解出来るのだが、ではそれ程まで仰々しい必然性があるのかといえば、あまりそれを感じられない。多分、戦前戦後の日本の歴史を紐解きながら、役者、それ以前の『女性』というものの人権をバックボーンに、一つの恋を貫いた恋愛劇なのだろうが、実はあまりワクワク感が得られない。主人公がハシャギ回るほど客観してる自分が置いていかれてしまっている気分である。それは、それラストの台詞、『だって、私、あの人を追いかけている私が好きなんだもの』の一言に尽きるのではないだろうか。結局、自分の人生は自分のモノであり、他人が介入できる余地はないのだから。
そんな訳で、暫く、今監督作品は休みにしよう。
全23件中、1~20件目を表示