「見応えのある映画」千年女優 Fさんの映画レビュー(感想・評価)
見応えのある映画
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Filmarksのリバイバル上映で鑑賞。こんなに見応えのある映画だとは思わなかった。立花が既に亡くなっていた事実を知らないまま、千代子は過去の映画撮影を夢見て、宇宙の彼方まで立花の事を追い掛けて生涯を終える。
千代子が途中で気づいた、あの人を追い掛けている自分が好きだという自我も、顔を思い出せなくなったという、立花を追い掛け続ける動機を補完しているように思う。
映画を見ながら、「可愛い」と言ってる自分が好きだという女の子の心理について思い浮かべた。それが可愛いと思っている本心を否定しているわけではないように、立花を追い掛けている自分が好きだと気づいた千代子も、一方で純粋な思いを否定しているわけではないのだろう。
キャラクターデザインや表情の描写も素晴らしくて、顔がスクリーンでアップになってもがっかりさせられる事はなかった。浜美枝さんや若林映子さんといった往年の女優の半生も彷彿とさせる。黒澤明の青年時代に似た人物も登場する。あの時代の日本の映画人の造形が、上手く再現されているように感じた。
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