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テレビドラマの内幕もの
鶴見辰吾さんが自身の活躍の場でもあるテレビドラマの内幕ものに入れ込んで製作・主演、ドラマ作りに打ち込んでいる現場の情熱を伝えたかったのでしょう。
業界の内幕ものは大衆受けが期待できハリウッドでも多く作られている、最近では久々のテレ東のドラマ「共演NG」も業界の裏話 を秋元康さんが面白く脚色しヒットしていましたね。
監督は鶴見さん初プロデュースの青春群像劇「卒業プルーフ(1987)」で監督デビューした牛山真一さん、他の俳優、スタッフも鶴見さん繋がりの人が多く出演している。鶴見さんと杉田さんの共演は明らかに金八先生をひっかけていますね。石原良純さんは当初、都知事役のオファーだったとか。
牛山さんは「黒澤作品はいかにして作られたのか?(NHKBS)」など内幕ドキュメントを多く手掛けており、本作も現実のスタッフ会議の現場にカメラを持ち込んだかのような演出、ナレーターもどきの狂言回し(船越英一郎)まで入れた奇抜な仕立て。
撮影も殆どリハーサル室内、当時は先駆けだったハイビジョンカメラで撮影、編集、のちに映画用にプリントされたので映画作りというよりはテレビ手法で作られている、この辺は予算の縛りもあったのでしょう。
プロットは中年の都知事と若いキャバ譲の恋物語のドラマが視聴率低迷で話半ばで突如打ち切り、あと一話で締めくくる案を巡って制作者たちは大混乱、主人公を殺すか、海外へ出すか、事故はスポンサーが自動車メーカーだから即却下、撮影は次回作で抑えたキャバクラだけ、他は過去のストックの再利用でしのぐしかなく、伏線なしの唐突な終わり方は難しい・・。
この辺が見どころで三谷さんの「ラジオの時間」を彷彿とさせるが話の流れが悪いので面白味に欠ける、悪徳知事バージョンは受けたが彩花(楊原京子)とおじさん連中の片想い合戦は不要でしょう。コメディの範疇では三谷さんとの腕の差は歴然。
こういう業界人いますよねと、もっともらしいキャラを並べても所詮芝居なので役者次第、船越さんはいい味出していましたが狂言回しは興を削ぎます、ブロードウェイのミュージカルのカーテンコールもどきまで入れて監督の思い入れたっぷりですが総じて一幕物の臭い舞台劇にしか見えないところが残念でした。
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