「ぼくの好きなバンドマン。」不確かなメロディー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
ぼくの好きなバンドマン。
2000年に行われた、忌野清志郎率いるバンド「ラフィータフィー」の全国ライブハウスツアーに密着したドキュメンタリー映画。
高速のサービスエリアで1000円で売っていたので、購入してみました。
この映画の存在すら知らなかった全くの初見です。
忌野清志郎については、彼が亡くなった時に出たベスト盤を聴いて痺れ、ファンになりました。
とはいえ全てのアルバムを聴いたわけではない、いわゆるにわかファンです。そういう人間のレビューです。
2000年のドキュメンタリーなので、清志郎が死ぬ10年前。50歳手前くらいの年齢の映像なんですね。
ライブでの彼の表情が素晴らしい!羅刹の様な荒々しい怒りの表情を見せたかと思えば、太宰治の様な寂しげな哀情を見せる。
ポジティブな楽曲をプレイ出来るアーティストは多くいますが、彼の様に人間の哀しみを表現出来るアーティストはほんの一握りなのでは?
余談ですが、これを観るまで武田真治が忌野清志郎と一緒にツアーをしていたとは知りませんでした。(まだ筋肉キャラじゃない笑笑)
ツアーの合間のプライベートな姿には「ロックンローラー」忌野清志郎ではなく、「人間」忌野清志郎を見ることができ、普段は物静かで哀愁漂う感じの人なんだなぁと知ることができました。
作中の楽曲はどれも素晴らしいですが、特に激しくロック調に演奏する「君が代」はウッドストックでのジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせる名演。
個人的に一番好きなのは「水の泡」という楽曲でした。エンディングにふさわしい名曲。ロックの中にしっかりとした文学が入っています。
忌野清志郎に興味がない人が見ても面白くないかもしれませんが、清志郎を好きな人、又は武田真治のファンにはオススメです!