「アニメ映画の可能性を本気で追求して見せた、原恵一監督の恐るべき才能と実力に感服しました」映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アニメ映画の可能性を本気で追求して見せた、原恵一監督の恐るべき才能と実力に感服しました

2020年7月26日
Androidアプリから投稿

すみません、クレヨンしんちゃんの映画でしょって、完全に舐めていました

物凄い傑作です
完全に大の大人が感動して泣かされます
それでいて子供も楽しめるアニメです
完全無欠とはこのこと

ヒロシの長い回想と、特にクライマックスの東京タワーの赤い階段を未来に向けて駆け上がるしんちゃんのシーンは日本のアニメ映画史上屈指の名シーンだと思います

疲労困憊とともにしんちゃんの作画が劇画風に演出されるところには心底やられました

鳩が飛ぶシーン
その舞い上がった鳩は直ぐ足下の軒先の巣に戻ります
その巣にはつがいの鳩と雛鳥が仲良くいるのです

音楽と音響の力
懐メロを単に挿入しているだけでなく、イコライザの掛け方などの工夫によって聞こえ方にまで拘りをみせています
テレビのアナウンサーの口調、原稿、音響も然りです
全く丁寧な演出が積み重ねられています

ケンとチャコのキャラ造形が素晴らしい
イエスタデイワンスモアのその名前自体1973年のカーペンターズの名曲です
本部でケンとチャコの二人が座る赤い唇のソファーのサイケデリックなこと!
サルバドール・ダリの有名なリップソファーです

アニメ映画の可能性を本気で追求して見せた、原恵一監督の恐るべき才能と実力に感服しました

私達はいま、「俺達が昔憧れていた、夢の21世紀」に生きているのです
本作公開から20年近く経ちこの言葉が一層の破壊力を持っているのです

あき240