連合艦隊のレビュー・感想・評価
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日本史に残る最高傑作
公開当時は16歳、高校1年生くらいだったと思います。 様々な配信サイトで視聴できる現在57歳になって、初めて見てみました。 16の時に見ていたら、理解できなかっただろうと思うところが多々あったというのが率直な感想です。 両親共に、小学生時代に戦争が始まり、小学生時代に終戦を迎えています。 なので、まだ幼い少年が「お母さん」と叫びながら死んでいったという話も聞いてはいたけど、映像で見せられると涙が落ちました。 なせ、真珠湾攻撃が行われたのか理解することはできませんでしたが、女として兄の婚約者として白無垢を纏った女性が弟の愛を受け入れて、その子供を産む気持ちは少し分かる気がしました。 兄の妻になりたがった気持ちを弟の妻として幸せに共に生きてほしいと託されて、死に急ぐ兄より、生きようとする弟の愛に応える。 世情は弟に生きることを許さなかったけれど、弟の子供であっても、兄の血が流れている。 弟への愛も真実だけれど、兄への気持ちにそんなふうにけりを付けたように私には思われました。
大和の乗組員は負けると分かっていたのか?
何回見ても日本が勝つ事が無いたけに、亡くなった人達を祀るのはわからくもないが、彼らがいたから、今の我々がいると言う考え方は違う。こう言った人がいなかったら、別の人達が生きていたような気がする。
今から40年前の映画だが、日本海海戦が映画の中の1945年の40年前。
時間が経つのは早い。日本海海戦に勝たなければ、もう少し早く戦争を止めていたかも知れないし、真珠湾攻撃も無かったかも知れない。勿論『たらねば』は歴史には無い。
それは兎も角、この映画を見てて、思った事。大和の乗組員は負けると分かっていたのかなぁ。映画ではみんな負けると思っている。勝つつもりがない。
この時点で負けていれば、沖縄戦も東京大空襲も原爆も無かったわけだから、この人達がいたから、今の我々がいる♥はやっぱり間違いだと想うけどね。
まぁ、我が祖父は臆病な人だったんで、早くから安全な所へ逃げていたんで、生き残れたけどね。だから、こう言った状況では、真面目な人程生き残れないと僕は思う。僕なら絶対に戦艦なんかにゃ乗らん。家族の為でも乗らん。自分が死んでしまってはそれまでよ。
今から40年前の映画だが
迫力や気合、覚悟から何から、現代の「イケメン俳優頼み」の映画界には到底表現し得ない、まさしく乾坤一擲の名作。 主題歌も素晴らしい。 日本人ならこれを観ずに死んではいけません。
映像はよかった
1940年(昭和15年)、連合艦隊司令長官・山本五十六(小林)の反対にもかかわらず、海軍大臣・及川古志郎の「やむを得ない」という一言により日独伊三国軍事同盟が締結された。
帝国海軍の取った道のりをドキュメント映像を散りばめながら進めていく手法で、どことなく単に史実に沿っていっただけの戦争ドキュメンタリーといったイメージ。さらに、架空の人物たち、本郷家と小田切家を中心として戦争に参加する様子を描いているのだが、これがまた中途半端。どちらも志願して海軍、特攻隊へと入った息子たち。赤紙を受けた小田切武市(財津一郎)ですら、元々海軍曹長で戦艦の整備担当であるほど軍人家庭の姿なのだ。したがって、“市井の人々を描いた”とする監督と脚本家・須崎勝彌が元々旧海軍の出身ということもあり、一般市民の目で見られてないことが市民感覚の無さを露呈しているのだ。
悲惨な死体の山をも描いているが、実際に殺されるといった胸を痛ませるシーンは皆無。痛みが伝わってこないだけでなく、やはり美しく散っていく海軍を描いているイメージが残る。大和を「やむを得ず」出撃させる及川大臣への批判も見受けられるが、結局は勝つための戦争ではなく、国のため、天皇のために体裁を保とうとすることを潔しとしただけ。出撃前夜に本郷真二(金田)の横で寝ていた兵士が泣きじゃくっていたことが唯一死ぬことの恐怖を描いていただろうか。
その真二の兄(永島)が死んだことにより、結婚したばかりの陽子(古手川祐子)を妻にもらうといった悲恋も描いているが、その古手川の表情が全くだめ。男の身勝手な態度に翻弄されるといったことを言いたいんだろうけど、これが映画の中で浮いてしまっている・・・そんなことより戦争に対する憤りってもんはないんかい!!といった脚本だ。
映像はミニチュアの戦艦。9000万円かけたというからその特撮技術は凄い!まぁ、模型を作りたくなる映画だわな。
トラック島空襲も盛り込んでほしかった。
ミッドウェーのぼろ負けに追い討ちをかけるような、真珠湾の仕返しかとも取れるトラック島奇襲で受けた零戦、空母の大損害、その辺も敗戦の理由として映像に残してほしかった。 アメリカに、本心は挑発したくなかった山本五十六さんの真珠湾攻撃から始まり、ミッドウェー海戦敗退、更にトラック島空襲でとどめを刺された辺りも組み込んでくれてたらなぁ‥。 日本が本当に壊滅的に追い込まれていた描写が少し足りない。当時の民間人もさほど知らされていなかったはず。 守戦のみにならざる得なかったあの辺りで素直に降伏していたら、特別攻撃隊、大和沈没、沖縄激戦、加えて広島、長崎原爆投下は免れていたのでは。 もっと日本の戦法の実は愚かさ極まりないを描写してほしかった。それ言ったらダメか。 伊藤整一は米海軍大将レイモンドと数年前に親交がある。大和を襲来指揮したのはレイモンド。 いずれにしても、この時代に生まれなくて本当によかった。 そのくらい虚しい哀しい映画。とはいえ、戦争映画ではNo.1です。
「死んでこい。これはもう命令の限界を超えている」
第二次世界大戦全体を描いた大作。 須崎勝弥の脚本が光る作品でもある。特に戦争映画を勇ましく描きながら、反戦メッセージも強いものになっており、戦争の“カッコイイ面”と、“残酷な面”の両方を味わえる。 特に沖縄決戦前の丹波哲郎の「勇ましいだけの特攻になんの意味がある」という言葉な、とても刺さる。 戦争を美化しないためにも、みんなに見てもらいたい映画。
この人たちの血、骨、肉によって、戦後の日本はあり、21世紀に生きる私達日本人がいるのです
奈良県、橿原神宮と神武天皇陵の宏大な森の一角に、空母瑞鶴の慰霊碑があります 何年か昔に、参道から少し入った小さな公園のような一角に迷い込んで偶然それがそこに在ることを知りました 丸くロータリーのような広場の中央の緑地の中心に立つ電信柱程の高さのオリベスクのような石柱です そのてっぺんには零式艦上戦闘機の精密な模型が上昇中のような姿勢で飾られています 50名程の老若男女と孫と覚しき小さな子供達がその慰霊碑をとりかこんで静かに談笑されていました 瑞鶴の生き残りの乗組員や遺族の方の慰霊祭のあとのようでした 自分が場違いな闖入者であることを悟り早々にその場を立ち去りました 空母瑞鶴は、本作にあるように開戦時最新鋭の空母として八面六臂の活躍をして1944年10月25日に沈んだのです 本作は特撮が駆使され戦闘シーンを克明に描きます しかしどことなく特撮シーンには現実感が感じられず、まるで怪獣映画の戦闘シーンのようです しかし、それらは本当に合ったことなのです シームレスに21世紀に生きる私達とつながっているリアルな実際に生きていた人々の物語なのです 東京、靖国神社の境内に遊就館という博物館があります 2005年頃小泉政権時に首相の靖国参拝が行われ、中国や韓国から激しく抗議と非難を受け、国内の世論もまた大きく割れて揺れました 自分としてはこの問題をどのように考えて良いか判断つかず、現地現物現実を見るしかないと思い、そこを訪れることにしました 神社自体は、大きな神社であるということで他とそう変わりはありません 遊就館は大きな艦上爆撃機彗星の実物の展示があったりして戦争博物館の趣があります しかし決して戦争を賛美しているものではありません 古代から現在に至る歴史の中で、私達日本人の祖先達がいかに内乱、外敵を退けて日本の統一と平和を守る為に苦難を乗り越えていったのかがテーマの博物館です 古代、中世、近世に渡る武具や古文書の展示、当時の国際情勢の解説はその視点で歴史を振り返って考えさせてくれる素晴らしい展示の数々です その順路の最後の小部屋 そこには小さな顔写真が四方の壁、天井にいたるまで埋め尽くされています 全て特攻隊員として死んでいった人達の写真なのです その写真には氏名、年齢、出身地、大戦中の軍の所属と階級、そして遺書が添えられています 圧倒的な迫力です 号泣しました 涙が止まらなくなりました その時自分の靖国参拝への結論は出ました 本作は正にそれと同じことをやろうとしたのだと思います そんな浪花節は聞きたくない! 小澤提督の言葉もまた心から正しいと思います センチメンタルで思考停止しているに過ぎません しかし 愛する人たちの為に戦う 人に愛と犠牲がある限り、その民族は滅びない 戦艦大和出撃の夜、信二の独白もまた尊いのです 遊就館のあの部屋を埋め尽くす本当に生きていて命を投げ出した人たちのこのような思いによって戦後の日本はあり、21世紀に生きる私達日本人がいるのです これもまた間違いの無いことだと思います 本作単独だけで、その結論にまで至る事ができるかは、自分には疑問です 本作はセンチメンタルに流れ過ぎだと正直思います しかし伝えたいメッセージはそれなのです 連合艦隊という当時の日本のベストオブベストのエリートの人々の行動、判断もまた描かれています 連合艦隊の高官達と同じ間違いを、戦後の日本人は繰り返してきました 東日本大震災の対応、失われた30年への対応、新型肺炎への対応・・・ 本質的な失敗の問題の根本原因は少しも正されていないのだと思わずにはいられません 谷村新司の有名な主題歌群青はエンドロールで流れます
財津一郎がなんともいい
財津一郎と中井貴一の父子で海軍軍人。父は兵卒だが子は士官。海兵合格を聞いた時の親父の喜びよう。そして大和艦上での別離。「もうええ、」という財津さんのせりふが、この戦争のすべてを集約していて泣ける。
山本五十六の大罪
あの戦争は勝てる戦争であった。 本来南進した後西へ向かいインド洋を制圧する。 これが基本作戦であった。 この作戦をぶち壊したのが山本五十六である。 真珠湾攻撃を強硬に主張。 山本の思惑とは真逆にアメリカの怒りに火をつけただけ。虎の尾を踏んだだけ。 日本がインド洋に来ることをどれほど恐れていたか。 アメリカのマーシャル参謀総長は 「日本がインド洋を制圧したらアメリカは打つ手がない」 チャーチルは 「日本がインド洋に来たら対抗できない」 ラッセル・グレンフェル英海軍大佐は 「日本がインド洋作戦を実施したら破滅だ」 当初の予定通りにやっていれば勝っていたのである。 恐れおののくチャーチルはルーズベルトに何とかしてくれと泣きつく。 それじゃあとドーリットル空襲。 この罠に山本ボンクラ五十六がまんまと引っ掛かりミッドウェイ。 ここで改心してインドへ向かえばまだ勝機はあったのだが、そこは懲りない五十六。 何をトチ狂ったかガダルカナル。 これで万事休す。 この映画には出ていないが山口多聞が連合艦隊司令長官だったら日本は勝っていただろう。 山口は『真珠湾攻撃』では石油タンクの第二次攻撃を主張したが却下。 敵将ニミッツは後に、「タンクをやられていたら艦隊は数ヶ月以上行動不能になっていた」 山口は『ミッドウェイ』では連合艦隊の総力を結集すべきと具申するも、提案は却下。 中途半端な戦力で戦った五十六の見識のなさ。勝てるわけがない。 山口は敵機動部隊を発見したとき魚雷に変えないでそのまま攻撃すべきと主張するも却下。 結果はご存知の通り装備を変えてるうちに敵機に攻撃され撃沈。 この時五十六は500キロ後方の大和で将棋を指していたそうである。 呆れて物も言えない。
海が見つめた悲しき叙事詩
DVDで3回目の鑑賞。
大切に育てた息子を送り出す父と母の心境。様々な想いを胸に戦場に赴く若者たち。彼らの無事な帰りを祈る人々。…
戦争を経験していない私には、ただ想像をたくましくするしか無いのだが、その心情を慮ると涙が止まらなかった。
中野昭慶特技監督が描く戦闘シーンのスペクタクルは筆舌に尽くしがたい迫力があると共に、本編と相まって、戦争の悲惨さを克明に浮き彫りにしていた。
クライマックスで描かれた、戦艦大和の壮絶な最期は忘れられない。中野特技監督が得意とする紅蓮の炎が大和を包み、天にも昇る勢いの火柱を伴った大爆発。
それはまるで、連合艦隊の断末魔のように思えただけではなく、多くの人たちの抱く想いを焼き尽くし、容赦無く呑み込んでいった末に立った墓標のようにも見えた。
根拠無き精神論・根性論、十死零生の戦法である特攻など、無謀かつ神頼み的ないい加減さで戦争を遂行しようとした当時の軍部には、怒りしか湧いて来ない。
夢や希望、愛や喜びを残酷に奪っていく戦争は、決して繰り返して良いものではなく、未来永劫起こらないように努力していかなければならないと痛切に感じた。
[以降の鑑賞記録]
2020/08/29:WOWOWシネマ
2020/10/18:Blu-ray
2023/04/07:Blu-ray
2024/10/08:Blu-ray
※修正(2024/10/08)
松林宗惠戦争作品の集大成
学生時代から8/15が近付くと戦争映画をみることを毎年の常にしているが、数多くの作品の中で、この作品ほど
“先の戦争の全てを俯瞰的に、しかも市井の市民の戦争”を綺麗に綿密に描ききった作品はないだろう。
好戦派や非戦・反戦派、いずれが見ても心に残る言わば『中戦』と言うべき作品なのは松林宗惠監督と脚本の須崎勝彌さんと言う本当に戦場に赴いた人が描いた戦争映画だからと言えよう。
台詞に数多く印象的な言葉が散りばめられ、主要出演者各々の見せ場が悲劇的で物悲しく、戦争の無常を切々と訴える。
主人公は山本五十六役の小林桂樹であるものの、前半で戦死し、中盤はレイテ沖海戦で囮を引き受けた小沢治三郎役の丹波哲郎が芯ある司令として、後半の大和出撃は伊藤聖一役の鶴田浩二が優しく物語を引っ張るが、何より、下士官上がりの海軍軍人の一家である小田切家と、内心は戦争に複雑な思いを抱えながら二人の息子を戦死で失う本郷家の視点で物語全体が進行していき、それは戦争を生きた全ての家庭に何かしらの想いを込めた作風とも言える。
小田切家の父親(財津一郎)が息子(中井貴一)の海軍兵学校入学と優等卒業を喜ぶ反面、特攻隊志願を反対するのは“軍人にも良心がある”と言う今の作品では絶対に描けないシーンでもあろう。
本郷家の二人の戦死と二人に愛された婚約者(古手川祐子)が翻弄される姿は戦争中によくあった光景とも言える。
戦局いよいよ逼迫の度を増す中で連合艦隊旗艦『大和』を指して、
「大和に生き恥をかかせないで下さい」と沖縄への出陣を主張する連合艦隊神参謀に、小沢治三郎の放った「そんな浪花節は聞きたくない」は、あの戦争の中で“浪花節”の如き闘いがあったことの裏返しかもしれない。
それに小田切家の父親が命を賭けて沈み行く大和の高熱の注水弁を回して壮絶に死に絶えた後、息子が空から、「お父さん、ほんの少しだけ長生きするのがせめてもの親孝行です」と心の中で呟き、沖縄に特攻するラスト、本当に説明・注釈一切不要の見事さである。
途中、狂言回しの如く幾度か作戦の言い合いをする草鹿龍之介(三橋達也)と宇垣纏(高橋幸治)の台詞が戦争の全般的な流れを説明してくれているし、改めてわざわざ終戦の事細かな事を描く必要も無い、作品を創る側も見る側も全てを承知出来ていた、そんな時代の作品だろう。
出演者の多くが出征経験があり、三橋達也に至ってはシベリア抑留まで経験している、創り手が戦争の経験があるのとないので、作品の重みがだいぶ変わってくる。
戦後50年を期に創られた作品には稀薄になってしまい、21世紀の戦争作品では
『俺は君のためにこそ死にに行く』のような英雄譚のみで描いた作品や、戦争をいちいち細々説明しなければ話の進まない『永遠の0』、そして“軍人は全て悪”と断じ斬った民放の戦争ドラマ、見ていて合点の往く作品が減ってしまったのは、戦争の時代を生きた人が減ってしまったことが原因だろうが、時間の流れとは言え、誠に悲しい。
松林宗惠監督、須崎勝彌脚本の戦争映画は本当に外れがなく、どの見地・どの思想の人でも見られると思うし、
今、戦争から70年以上が経ち、我々世代が老人を含む大人から聞いた戦争の話を今の子供は聞く機会がない、その事実も悲しいことではあるが、是非、若い世代に、CGに比べた特撮云々ではなく、ストーリーそのものを見て貰いたい作品であると思う。
菊水特攻作戦・・
昭和20年4月6日の戦艦大和の最後の闘い、菊水特攻作戦が描かれている。不沈艦であるはずの大和が、3000人以上の戦死者を出して沈んでいったことは、日本人にとって非常にショックだ。しかも向かった沖縄にたどり着くことなく闘いに敗れて沈没した。戦艦大和の最後の壮絶な闘いをこの映画で観ることができる。血にまみれた闘いを我々は2度としてはならない・・
「連合艦隊」を観て・・
山本五十六連合艦隊司令長官が亡くなった時に日本の敗戦を国民は意識したのでは・・ 昭和16年12月8日の真珠湾攻撃から昭和20年4月6日の戦艦「大和」の菊水特攻までの物語。海軍のトップから海軍兵の家族まで、当時はどのような気持ちだったかを映像にしている。太平洋戦争の中で日本海軍の空母や戦艦はどう動いたか?特攻に向かっていく若者たちの心情は・・ 1981年公開の戦争映画の名作。 テーマ曲は谷村新司の「群青」。今は亡き役者が多く出演している。
ミーハー視聴者です。
wiki、海戦解説書完備で視聴に臨みました。 流石に今見ると13m大型模型の大和、瑞鶴以外は艦隊模型はしょっぱいです。 解説書読みながらのおさらい感覚でなかったら前半は辛いかな〜。ものすごいダイジェスト感。後半は泣き所が多かった!! 航空隊の最後といい、熱い作品でした。
特攻隊操縦士のせめてもの親孝行がせつない
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )
第二次世界大戦における日本の海戦史をおおまかながらも忠実に追う部分と、それに参加した無名の数名の兵士たちの二つの視点がある。だが前半の部分はただ本に書かれてある歴史の薄っぺらい要約にすぎなくて物語としてつまらないし、摸型の飛行機や船が絵を背景に登場する映像もたいしたことないしでつまらない。歴史の解説に時間をかけすぎで、この部分は殆ど無くっても問題ない。敗色濃厚なマリアナくらいから物語を始めてもいいくらい。登場する軍人たちの演技もわざとらしさが目立つ。ただしそれまでのしょぼい船の摸型と違って、1/20の大きさで作られた大和の摸型だけは他とは迫力が違う。
後半になってから水兵やら飛行機の操縦士たちやその家族やらが中心になってきてからようやく映画らしくなってくる。それまでの歴史の要約編にすぎなかったものが、やっと死とは隣り合わせながらも生き生きとした登場人物たちの直面する戦争の話として動き出す。彼らが参加している戦争というものがここでようやく視聴者にも伝わってくるようになる。沈みいく大和を見ながら特攻隊の操縦士が言う「親よりも少しだけ長生きする」というせめてもの親孝行がせつない。
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