劇場公開日 1974年8月3日

「黒木和雄監督が描いた竜馬暗殺までの3日間」竜馬暗殺 たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5黒木和雄監督が描いた竜馬暗殺までの3日間

2022年6月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

初見は学生時代の名画座=池袋・文芸地下(1981年4月5日)だったので、41年ぶりに観た。
今回観たのは、司馬遼太郎の長編小説「竜馬がゆく(全8巻)」を再び読了したので、「黒木和雄監督は竜馬の暗殺事件をどのように描いたのか?」が気になって再見。

この映画は、竜馬が暗殺される日までの3日間(慶応3年11月13日~15日)を描いているが、竜馬が潜伏していた近江屋の土蔵が窓から出入りできたり、土蔵の向かいの女の部屋に出入りできたり…と変わった描き方に見えた。
また、竜馬と一緒に暗殺された中岡慎太郎が竜馬を殺そうとしていたのは、司馬遼太郎の原作とは全く異なる。
また、「ええじゃないか」の騒動も交えて描かれているが、確かに時代的には合致するものの、本当に竜馬が女装して「ええじゃないか」に参加したのかは不明。

まぁ、そもそも竜馬暗殺自体の一部が明確になったのは、竜馬暗殺の下手人(数人)のうちの男が維新後の死ぬ間際に告白したことなどから犯人の一部が判明したものの、謎に包まれた暗殺事件だったので、竜馬が暗殺されたという事実以外の枝葉エピソードは、黒木和雄監督が独自に生み出した物語。

竜馬を演じた原田芳雄は確かに迫力あったが、実際に残されている坂本竜馬の写真(数枚)と比べてしまうとチョット違うかな…という気もする。
また、司馬遼太郎「竜馬がゆく」には登場しなかった松田優作が演じた男も意味不明の感あり。

司馬遼太郎が描いた「竜馬がゆく」は、新聞記者時代を含めて日本全国あちこちを取材して、現地を見て、史料を読んだりしながら構築した物語であり、不明な部分が明確になった根拠も記載されているので、個人的にはあの小説に描かれた竜馬はかなり忠実だと思っている。

<映倫No.18090>

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たいちぃ