襤褸の旗のレビュー・感想・評価
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2025年の今こその襤褸の旗
明治時代に、渡良瀬川上流(栃木/群馬県境付近)の足尾銅山からの廃棄物によって生じたわが国最初の公害問題とされる「足尾鉱毒事件」と、その問題と生涯戦い続けた田中正造代議士の物語です。力の漲った作品で少し肩が凝ってしまいますが、事件の歴史を知るには最適のお話でした。
足尾鉱毒事件も、田中正造の名も、彼の天皇直訴事件も日本史の一部として知ってはいましたが、国の取った公害解決法が発生源の特定と対策ではなく、被害と抗議が大きな村からの住民排除(強制執行)だったとは知りませんでした。撮影協力したとクレジットされていた三里塚の人々は当然自分達の身の上に重ねたでしょう。
「亡国に至るを知らざればすなわち亡国の儀」の彼の言葉は、無責任な政治家の言葉とそれに相乗りする人々が横行する2025年のこの国にまさしく掲げるべき襤褸(らんる:ぼろきれ)の旗だな。
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