「女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥」陽暉楼 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥
名キャッチコピーってありますよね。
「姿は見えないが、殺意は見える」by インビジブル
「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」by エイリアン
「権力という孤独、 愛という哀しみ 、男という生き方」by ゴッドファーザー
「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」by 魔女の宅急便
とかとかとか。
本作は、これ。
「女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥」
なんか、鳥肌立ちます。
見所の一つに、ダンスホールのトイレでの、桃若(池上季実子)と珠子(浅野温子)のつかみ合いの喧嘩があると思います。このキャットファイト、ぐっちゃぐちゃで、ぐっしょしょです。そんなぐっちゃぐちゃな姿のまま、愛しい人に会いに行く桃若がいい!
そして、あの決め台詞。
「うち、決闘してきたんよ」
やば、可愛い!萌え!
でも、この桃若の初めての恋は、成就しません。
終盤で桃若の結核が悪化し、朦朧とした意識の中で父親を愛しい人と思い抱きしめるシーンがあります。死の床にあっても、女は女。哀れだけど、私もそうありたいと思ったりしました。
私も年老いてー、こんなふうに死の床にいてー、思い出せる人が……、あのー、今の所ー、えっとー、二人、います(笑)すみません。
でも成就しない恋でも、いや成就しないからこそなんですが、思い出すだけで潤う。そんな人に出会えたことは、女としてきっと幸せ。
だから桃若が、それほど不幸には思えなかったんです。だって、出会えない女の方が多いでしょう?
なんて考えるのは、センチメンタル過ぎるでしょうかね。
当時、池上季実子さん24歳、浅野温子さん23歳くらいですが、全身から女の業が滲み出てる。凄い!
豪華女優陣!女の業!官能的!なんて言われることが多い本作ですが、
母から娘へ巡り続ける、哀しい女の因果を描いた秀作だと思います
(鬼龍院花子の生涯より本作の方が好きです。共感します)。
ラスト、あの桃若の幼い娘の笑顔に、胸を締め付けられました。
※余談ですが、桃若のモデル(と、思います)の芸子さんが、池上季実子さんよりも更に美しかったのにびっくりしました。