「メモリアルにならなかった記念碑 吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです」夢千代日記 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
メモリアルにならなかった記念碑 吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです
監督は浦山桐郎
彼の初監督作品はキューポラのある街
吉永小百合をスターにした映画です
そして本作が彼の遺作です
つまり吉永小百合に始まり、吉永小百合で終わったのです
吉永小百合は40歳
女性としての夏が終わろうという時期です
それがこの夢千代日記の完結とシンクロしています
あの時産んでおけば良かった
私には残すものがなんにもにゃあ
この台詞もまた彼女の人生とシンクロさせています
もう子供を生む年齢を過ぎようとしているのです
そして隠岐島での情熱的な口づけとエロチックな台詞に突き進みます
抱いて!抱いて下さい
あなたの命が欲しい、私の体の中に・・・
あなたの命を下さい
そして暗がりの中での、遠目で短いながら性行為の描写となるのです
テレビシリーズではプラトニックな関係止まりであったのに彼女から迫らせるのです
最高に美しい女としての吉永小百合を映像に残す
そして一区切りをつける
結局のところ、本作はそのような映画だったと思います
ところが監督も吉永小百合当人も、スタッフも、映画業界も、ファンすらも思いもよらないかったことが起こります
吉永小百合は年を重ねても美しいのです
劣化するどころか、年を重ねた美しさが増して行ったのです
それゆえに本作は区切りとはならなかったのです
普通の女優なら、本作がピークになってあとは老け役とかになり、出演も激減していくはずです
原節子は42歳で引退しました
ところが吉永小百合は、美しさを保ったまま女優の女王として君臨し続けているのです
本作はメモリアルにならなかった記念碑なのかもしれません
吉永小百合の途中のマイルストーンだったのです
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