劇場公開日 1965年4月10日

「中央対地方、男対女の観点で」雪国(1965) KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0中央対地方、男対女の観点で

2021年1月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

昨年末、未読だった川端康成をと思い
「雪国」と「伊豆の踊り子」
を読んだことからレンタルDVDで観賞。

原作の執筆意図は理解出来ていないが、
この映画を見て感じたのは、
中央対地方、男対女の観点だった。

後者はまだまだとは言え、この時代からは
それなりに男女の意識改善が
進んだように思える。

しかし、前者の問題はどうだろうか。
地方の生活や意識が中央に支配されている
構図はそれほど変わっていないのでは。

政治・経済・文化など全ての面で
中央一極集中化が進む日本で、
駒子も島村を通じて心乱されるのは、
中央への特別視のためではないかと思われ、
中央対地方の構図は
昔から変わってないと見えてしまう。

島村のこの地での心の安らぎは、
中央から来た彼にとっては
この地が中央から閉じているからこその価値
であっても、
この地が彼を通じ中央と繋がった途端、
この地の人々にとっての平穏さが
かき乱されてしまう。

駒子の土着意識も島村が来ることによって、
肉体共々意識までも
その平穏さが破壊されてしまう。

この原作は、
男女の情感のすれ違いの様を描いている
のかも知れないが、
私は中央対地方という構図に囚われながら
観賞を終えてしまった。

KENZO一級建築士事務所