「北の国から名馬に人々の夢を乗せて」優駿 ORACION 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
北の国から名馬に人々の夢を乗せて
1988年のフジテレビ・ムービー。
北海道の小さな牧場で産まれた名馬のサラブレッド。“オラシオン(祈り)”と名付けられ、日本ダービーに出場するまで。
関わる周りの人々の群像劇でもある。
牧場主父子。父・渡海は牧場一筋、息子・博正はオラシオンを可愛がる。緒形拳と緒形直人が実の親子共演。
オラシオンを買った工業会社社長・和具。演じる仲代達矢と緒形拳の二大名優共演シーンは必見!
父からオラシオンを譲り受ける娘、久美子。斉藤由貴がキュートな馬主に。
吉岡秀隆演じるその腹違いの弟、誠。腎臓悪く、身内から移植手術を受けなければ余命僅か。オラシオンを走る姿が見たい。が、父は移植を拒み…。
久美子と博正の仄かな恋、久美子と誠の異母姉弟愛、渡海と博正、和具と誠の父と息子…。
幾人もの人間模様が絡む。
オラシオンに夢を乗せてーーー。
和具の本妻に吉行和子、愛人に加賀まりこ、秘書に石橋凌、調教師に田中邦衛…主要から脇まで豪華キャスト。
北海道の美しい映像。
クライマックスは実際のダービー映像を使用した躍動感。
大自然と、人と、馬。
杉田成道監督が感動的に紡いでいく。
いい映画、出来過ぎな映画でもある。
群像劇スタイルは悪くないが、ちと散らかってる印象。
誠が息を引き取った時にたった一人立ち会った和具。でもああいう場合、医師とか看護師とかも居ない?…とか、ツッコミ所も。
運搬中の博正のミスで、オラシオンが脚に怪我を負い、骨折。何とか治り、また出場するも、脚への負担はやはり大きかった。決断迫られる。
ダービー出場を諦める。牧場で穏やかに生きる。それもいい。が、
何の為に生まれてきたか。走る為に生まれてきた。今一度、賭けて(駈けて)みる…!
見方によっちゃあ動物虐待にも…?
感動的だが、話はステレオタイプ。
予定調和だけど、見て悪い気分にはならないフジテレビ製フィールグッド・ムービー。
北の国から名馬に人々の夢を乗せて。