「ヒロインの美沙子役のが中島ゆたかが特に素晴らしい」殺人遊戯 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
ヒロインの美沙子役のが中島ゆたかが特に素晴らしい
これは面白い!
遊戯シリーズ三作の中で一番だと思う
本作は1978年12月公開
序盤のぼったくりキャバレーで流れていた歌謡曲は「迷い道」
1977年11月発売、翌1978年春にかけての渡辺真知子の大ヒット曲だ
エピローグの渋谷道頓堀の安キャバレーで流れている曲は同年10月公開の角川映画「野生の証明」の主題歌「戦士の休息」
町田義人のシングルで同年8月発売
とかとかいろいろと時節ネタを他にも気が付かない程度だがパラパラと入れてある
それには理由がある
1978年7月京都京阪三条駅前の高級クラブ「ベラミ」で大事件が発生したからだ
山口組の田岡組長がその店内で狙撃され全治2カ月の重傷を負った事件だ
犯人の名前は鳴海清
本作の主人公は鳴海昌平
名前だけのことだが、なんという偶然の一致だろう
村川監督も松田優作も仰天したに違いない
早速それを本作の一流クラブ「アラビカ」の襲撃シーンとして取り入れられている
襲撃犯も鳴海清を思わせるような設定になっている
しかしビビるものがあるのだろう
というのも、その犯人鳴海清はどうなったか?
事件の約2ヵ月後、彼の惨殺死体が六甲山中で発見されるのだ
だから時節ネタですよと過剰なくらいエキスキューズしている訳だ
いずれにしてもこのシーンには当時の観客も度肝を抜かれたに違いない
後半、リンチにあって主人公は喉を殴られて声が出なくなる
これはクライマックスにおいて主人公にセリフを一言も話さない演出をしたいがための工夫
前半に比べ後半は格段にシリアスさが増した見事な演出でした
ヒロインの美沙子役のが中島ゆたかが特に素晴らしい
前作のヒロインの不満が全て解消されている
美しくミステリアスで、大人の女の色香が濃厚にある
演技も上手い
彼女で本作はより引き締まった
キスしながら殺されるシーンは印象に残る名シーンだ
冒頭の暗殺シーンで主人公は秘書の美沙子に44マグナムで脅して案内をさせるのだが、よく見ると実は忍び込んだとき彼女とうなずきあっているのだ
つまりその前に彼女と主人公には男女の関係があり、暗殺の手引きをさせたという設定になっている
主人公が彼女を殺さなかった理由はそれだ
この冒頭とクライマックスの殺害シーンがつながっていることに気がつくとより心に残るシーンになる