「『ソナチネ』の原点?」無宿<やどなし> Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
『ソナチネ』の原点?
クリックして本文を読む
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:75点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
物語は普通の任侠時代物に、一捻りを効かせた冒険談の中に人の安らぎと儚さを加えて混ぜたもの。殺伐とした世の中での生活と、そんなことは全く感じさせない浜辺での生活があり、その落差が激しい。前半の殺伐とした無法な雰囲気から一転して、後半は美しい浜辺で子供のようにはしゃぎながら宝探しをする幸せそうな姿に心が洗われるような感じを受ける。「宝物が出んでもこがいな毎日が続いた方がええわ」という女の科白が印象に残る。そしてそれを否定する結末が儚く寂しい。
物語の細かいところはどうでも良いらしく、ちょっとした動きや科白があるとすぐに音楽が入り雰囲気を作り出そうとする。俳優の演技と存在感に大きく頼る作りになっている。そして実際に俳優たちの存在感があった。2人の大物個性派俳優の間にある女が潤いを与えていた。
殺伐とした日常生活と浜辺ではしゃぐ姿の差が、北野武監督の『ソナチネ』に似ている。もしかすると北野監督はこの作品を意識したのかもしれない。
コメントする