野獣死すべし(1980/村川透監督)のレビュー・感想・評価
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生誕75周年記念特集上映「松田優作の狂気
生誕75周年記念特集上映「松田優作の狂気」なるタイトルで上映していた『野獣死すべし』を見てきた。
村川透監督と明日香七穂さんの舞台挨拶付きの上映でした。
もちろん昔、何度か見た映画です。
原作の大藪春彦の小説もたくさん読んでたし、松田優作ファンの私はドキュメンタリー映画の『SOUL RED 松田優作』のDVDも持ってる。
大藪春彦原作の遊戯シリーズや蘇える金狼はハマって見ていた。
ただ、最後に見たのは20年以上前だと思う。
もちろん、映画館で見るのは初めて。
昨年、午前十時の映画祭で『ブラック・レイン』を見た。
それまで、世代的に松田優作の映画を映画館で見た事は無かったので、機会があれば見たいと思っていた。
この映画では役作りのために、激やせして、歯まで抜いたという松田優作。
たしかに鬼気迫る演技でした。
このへんは強く記憶に残っていたので、彼の演技を再確認できた。
それよりも、あらためて見る、鹿賀丈史、小林麻美、室田日出夫の存在感は凄かった。
昔は、濃くて良い役者さんがたくさんいましたね。
ドラマ探偵物語の山西道広、骨董屋の飯塚も出てた。。
懐かしい。。
村川透監督は、サービス精神旺盛で、いろいろ話してくれました。
野獣死すべしが松田優作と最後の共演の約束だった事、
だけど頼まれてドラマの『華麗なる追跡』を松田優作の癌の事は知らずに撮影した事など、
松田優作ファンの私には垂涎ものの話ばかりでした。
いわくつきのラストシーンだけが。。
1976年公開の『犬神家の一族』以降、
当時としては画期的・圧倒的・立体的なメディア戦略で次々とヒット映画と新しいスターを生み出した角川映画。
本作は(同時公開の『ニッポン警視庁の恥といわれた二人刑事珍道中』と併せて)、『復活の日』の後、『スローなブギにしてくれ』の前に公開された。1980年公開となっている。
絶好調の角川映画に乗ろうとしたのか、東映とのタイアップで製作されているが、実質的には角川春樹の一連の作品のひとつであることに変わりはない。
◆角川文庫が推していたハードボイルド作家、大藪春彦
◆本作のために10kg減量+4本抜歯した松田優作
◆「日本映画ではなく『角川映画』だ」の角川春樹
こんな時に限って?、興行的にはコケるんですね笑
ギリギリ1億円プラスと言われているので、たぶん、内情は赤字で終わったのでしょう。
松田優作は、妖気漂う独自の世界を完成の域に近付ける熱演をしたし、
鹿賀丈史も爪痕どころかしっかり記憶に残る迫真の演技を見せた。
ただ、松田優作が提案したとされる、ラストシーンの脚本書き換えによって、コメント不能な作品に仕上がってしまった感は否めない。
作中では、松田優作演じる伊達邦彦は、戦場記者として世界各地で ″地獄″ を見続けたことが示唆され、
予定外に華田令子(演:小林麻美)を殺してしまい、
完全に精神破綻もしくは闇堕ちした伊達邦彦は、現実なのか幻想なのか、演じていた松田優作本人がわからなくなったのかもしれない。
ただ、個人的には、
あのラストは唐突すぎる。
前段になんの伏線もないので、「撮っている最中に、気が変わったのか」くらいしか解釈しようがなかった。
と言いつつも、
松田優作はどこまでもカッコいいので、☆3.0
おもしろい
松田優作ももちろんいいけど、室田日出男(a.k.a早川英男)がいい。
豪快に人質も撃ってくのが新鮮。大量虐殺。こんなディア・ハンターみたいな話だったのね〜。1980年の浮かれた東京で戦場PTSDはなかなか目の付け所がよいのでは。
制作角川春樹、プロデューサーは黒澤満。
銀行も窓口にたくさん人がいて余裕のある時代だなあ。この時代の映画はなんとなく底抜けな陽気さといい加減さがあるのがいい。
これ当時ヒットしたのかな??
映画のあと、思わず日比谷公会堂に聖地巡礼しちゃいました。日本橋あたりうろうろしてるのもいいね。
まさに狂気
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戦場カメラマンの優作が悲惨な場面を見るうちに狂気が目覚める。
知り合った鹿賀と共に銀行強盗を企てる。
鹿賀もたいがいの狂気やが、まだまともやった。
優作は警察官を殺して得た銃で、鹿賀に恋人を殺させる。
そして銀行を襲い、手当たり次第に殺しまくり。
コンサート会場で知り合い、自分に好意を寄せていた子までも殺す。
逃亡中の汽車で偶然知り合いの刑事と出会うが、これも殺す。
さらに逃亡中、急にフラッシュバックして鹿賀も殺す。
その後で戻って来てコンサートへ行き、そこから帰る時に、
実は何故か生きていた刑事に撃たれて優作死亡。
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とにかく難しい映画。
優作が狂気をやらせたら右に出る者はいないと改めて思った。
全ては見た人の解釈ってな扱いになってるみたいで、
死んだ刑事が最後生きてたのは優作の幻とも取れるし、
単なる夢オチと取ることも出来るとか。
戦場カメラマン
2023年12月9日
映画 #野獣死すべし(1980年)鑑賞
難解なラストシーンについて、製作の #角川春樹 は激怒し、初日の舞台挨拶後に #松田優作 を拉致して渋谷のガード下に連行するよう、角川書店の武闘派社員2人に命じていたが、劇場内が満員だったと聞いて矛を収め未遂に終わったらしい
角川春樹怖いな
トンデモナイ名作だった
松田優作x村川 透(監督)x大藪春彦(原作)の連作になる。
子供の僕には「蘇る金狼」が面白かったから「野獣死すべし」も見に行ったのに今一だった記憶がある。
確かに「野獣死すべし」は人気が無かった。
大人になって「野獣死すべし」を見たら、色あせるどころかトンデモナイ名作だった事に気付いた。
それに比べ「蘇る金狼」は色あせている。
「蘇る金狼」のスマッシュヒットで、2作目として、思いの丈を開放して、全力で作ったのに、深すぎて大衆には受け入れられなかったのかもしれない。残念である。
まさにコッポラの「地獄の黙示録」と同じ地獄を見て狂った男の話であるが、ストーリーは、地獄の黙示録より優れている。映像は3ランクほど落ちるが、当時の日本映画としたら、よく頑張りました!である。
まあ映像で、脂の乗り切ったコッポラと対峙できるのは、キューブリックぐらいだから仕方がない。
でも電車のシーンは圧巻である。見事なカメラワークである。
松田優作は、ちょっと脚本を読み切れていない感じのする演技である。どの作品にも、ちょっとずつ感じる。
冒頭からいかにも優作の独特の動き。その後も続く狂気の怪演。ほんとこ...
冒頭からいかにも優作の独特の動き。その後も続く狂気の怪演。ほんとこんな役ばっかりですね。まぁ確かに狂気で彼に勝る役者は見当たらないですもんね。
ラストはどうなった?よくわからん(笑)
BS12
がんばって最後まで観た。
「銀行強盗を題材にしたハードボイルド」と思いきや、ただのシュレリアリズム映像でした。
毎度おなじみ松田優作のドタバタ芸、ただ音楽を聞かされるだけのシーン、おばちゃんのカルメン、ドリフのコントみたいな警泥シーン、アフロ男女のセクロス、バキューンバキューン戦争ごっこ、と無駄な時間が流れていって、終わり(笑)
当時はこれが「芸術作品」としてまかり通ったんですね。「無意味なシーンを適当につなぎ合わせて、有名人使ってゴリ押し宣伝しとけば、あとは受け手が勝手に解釈くれるよ」みたいな感じでしょうか。
役者ありきですけど
意味を求めさえしなければ、これは娯楽映画だと思う。
だって、優作を始め出演者は魅力的だし、ヴァイオレンスもエロも風刺も詰め込んで暴走してるじゃないですか。
リップヴァンウィンクルのくだりは、目が離せないでしょう。
それでいいじゃないですか。
人様の妄想に意味なんか、無意味ですよ。
リップヴァンウィンクルの野獣
原作・大藪春彦×監督・村川透×主演・松田優作。
『蘇える金狼』のトリオで同作の流れを汲む、ハードボイルド・アクション!
…と思ったら、大分違った。
大雨の夜の都内、一人の刑事が奪われた自身の銃で射殺され、さらにその銃で違法カジノのチンピラ2人も殺された。
犯人も動機も全く不明で、捜査は難航。しかし、その犯人は…。
元戦場カメラマンで今は翻訳の仕事をしている伊達。
普段は物静かで、クラシック音楽を愛す。演奏会では涙を流すほど。
そんな彼が何故こんな凶行を…?
チンピラだって殺されていい訳ないが、刑事は汚職刑事だったのか…?
否!
彼を凶行に駆り立てたもの。それは、内なる狂気。
いや、“野獣”。
それを目醒めさせたのは、戦場という名の地獄…。
今でこそ“PTSD”という言葉は一般的に知れ渡っている。
が、本作が公開された1980年はまだそれほどは。
戦闘ストレスによるPTSDが知れ渡るのは、ベトナム戦争から。時代背景としては同時期なのだが、日本の一般客にはおそらく全くと言っていいほど。
それは配収にも表れている。『蘇える金狼』に及ばず。松田優作のダーティヒーロー・アクション第2弾と思ったら、よく訳の分からぬキチ○イっぷりを見せられ、当時の観客も困惑した事だろう。
研究が進み、映画などでも描かれ、何より体験者の生の証言から分かってきているPTSDの苦しみ…。
伊達の次のターゲットは、大銀行襲撃。
が、さすがに一人では無理。仲間が必要。
ある時誘われた大学の同窓会。バカ連中に嫌気を感じていたが、そこでウェイターをしていた青年・真田に自分と似た匂いを感じ、仲間に引き込む。
“野獣”になるべく、徹底的に叩き込む。銃の扱い方、さらに自身で恋人を殺す非道さ…。
伊達の後を一人の男が追っている。刑事の柏木。誰も見向きもしない些細な証言から、密かに伊達をマーク。
そして遂に襲撃。が、客の中に、以前演奏会で出会いクラシック音楽好きから伊達に好意を寄せる女性・令子の姿があった…。
原作の伊達は野性的なタフガイらしい。
が、役作りで頬が痩せこけた不気味な風貌に監督は激怒、改変した脚本に原作者は批判したとか。
しかし、熱演と言うより、取り憑かれたような松田優作の怪演は凄まじい。
特に、夜の電車内である人物に銃を向け、“リップヴァンウィンクルの話”をするシーンの演技はまるで別次元にいるかのよう。
また、終盤の洞窟内で「君は美しい!」と狂おしく叫ぶ長回しシーンも圧倒される。
真田役の鹿賀丈史も強烈存在感。登場シーンからアブなさムンムン、「何見てんだ、こら!」で、あ、やっぱり! 松田優作に引けを取らず。昔から個性派。
生気が無い2人に対し、柏木役の室田日出男が血の通った人間味ある渋い好演を見せる。が、彼に恐怖の時間が…。
帰還兵とカメラマンの違いはあるが、何処か『タクシー・ドライバー』と通じる所がある。
社会と断絶した生活、狂気の目醒め、凶行…。
この苦しみ、あの地獄に気付いてくれ。
しかしだからと言って、彼の犯した事の弁護にはならない。
ただ単にあの地獄を見て、自分の中の野獣が剥き出しになっただけなのかもしれない。
世界は戦争が続いている。全く関心を示さず、平和ボケしている日本に怒りの銃口を向けたかったのかもしれない。
邦画史上難解の一つと言われるラストシーン。
一見、柏木が生きていて、伊達を射撃した…のように思えるが、確かな解説は未だ無く、様々な解釈があるそうだ。
こういうのはどうだろう。
彼は戦場で、“リップヴァンウィンクルの酒”を飲んでいたのだ。
酔って夢を見ていたのだ。
そして夢から醒めた時、彼はもう死んでいたのだ…。
役作りで奥歯抜いた優作
松田優作好きならマストなこのタイトル。改めて観てみると…
80年代邦画にありがちなリアリティ皆無な銃撃シーンと作り手の思い入れたっぷりな長回し。優作がのめり込み過ぎなのは明らかだ。
荒削りでデカダンなハードボイルド解釈。洗練されてるのは小林麻美だけ。物語の進み具合も妙に遅く付き合うのに骨が折れる。見る側にもハードボイルドを強いるスタイル。
しかし中盤に鹿賀丈史登場。優作の狂気に対抗できるキャラクターだ。この映画の見所は俳優の吹っ切れ具合のみかもしれない。
終盤まで付き合うと名台詞と名シーンは見れますのでハードボイルドモードで頑張りましょう。
映画自体は大変に荒削りで残念な出来映えだか、それでも松田優作の怪演は見物だ
本作公開の前年に実際にあった三菱銀行北畠支店事件が下敷きにあるのはすぐわかるだろう
それよりも、本作公開2年前のディアハンターにより大きな影響を受けているのも明らかだ
と言うより、日本版のディアハンターを作ろうと意図したのではないだろうか?
単に夜行列車の中でのロシアンルーレットのシーンがそれを模したというだけでなく、今風に言えば戦場でのPTSDによる主人公の精神崩壊をテーマに据えてあるのを理解すればそれをなぞろうとしたものとわかる
難解だとされるラストシーンは、猛速度で走行する列車の窓を破って飛び降りてからのシーンは全て主人公の転落による瀕死のなかでの幻想であると自分は理解した
石造りの地下要塞の内部での主人公の長台詞でも
「ベイルートの南10マイルのジャングルの中を・・・」と直ぐにおかしいと分かるようにしてあるではないか
そこにあるのはベイルート国際空港だ
そもそもヨルダンには丘陵に低木が生えるのみでジャングルなどあるはずもない
インドシナかウガンダとの記憶の混同が起こっていると分かるように示唆してあるのだ
そして日本の田舎の山地にそんな地下要塞跡があるというのも記憶の混同を表現しているのだ
続く日比谷公会堂のシーンも小林麻美演ずるヒロインの追想であり、刑事により罰をうけ死にゆくことを表しているのだと思う
映画自体は大変に荒削りで残念な出来映えだ
彼が野獣に変わる原因たるベトナムなどの戦乱の悲惨なシーンはニュース映画のモンタージュを白黒で挿入しているに過ぎない
そしてフラッシュバックして錯乱する中で彼はこう叫ぶ「俺は日本人だ!関係ない!」
自分がまるで透明人間であるかのような、なんという無責任な甘えの思考だろう
それが台詞の中で露呈してしまっている
そこにいるだけで当事者なのだ
戦乱のなかで殺されていく現地の人々にその台詞はなんと聞こえるのだろう
その台詞を核にして作られている映画とは一体何だろう?
それでも松田優作の怪演は見物だ
傑出した役者であることは存分に証明している
それだけでも本作を観る意義も価値もあるのは間違いない
また鹿賀丈史と室田日出男も素晴らしい仕事を残している
主人公29歳の設定!?同期の面々が東大卒にみえない
松田優作は野獣というより爬虫類、インテリで下戸
岡本麗のオナニーシーン
鹿賀丈史は黒人とのハーフに見える、アフロヘア
根岸季衣のフラメンコ
スローモーションよく使う
射撃訓練の時、九の字に曲がって構える癖は銀行強盗の時には伺えず
電車の逆転シーン恰好いい(窓に映る真田)
ディア・ハンターはこの2年前に出来ているのか
x-y-zカクテル
思いもよらない転調
熱い演劇調の松田優作のエクスタシー論を聞きながら腰を振る鹿賀丈史が一番立派
迫力のガンエフェクト
なんだこのラストシーン!?室田日出男は何と呟いた??
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