「平和の象徴モスラと人間の愚かさの対比」モスラ(1961) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
平和の象徴モスラと人間の愚かさの対比
東宝の怪獣でゴジラに次ぐ人気を誇るモスラのデビュー作。1961年の作品。
『ゴジラ』も『空の大怪獣ラドン』もシリアスな作風だが、『モスラ』は怪獣映画にファンタジー風味をプラス。
怪獣でありながら平和の守護神であったり、身長30cmの小美人の登場(ザ・ピーナッツがハマり役)など、他の怪獣映画には無い魅力。
卵〜幼虫〜繭〜成虫と変化し、特に東京タワーに作った繭から孵るシーンは、東宝特撮永遠の名シーン。
ドラマ部分では人間の愚かさが際立つ。小美人を使って一獲千金を目論むネルソンがそれだ。
(勿論、フランキー堺、小泉博、香川京子の主役3人は善人だが)
欲望の赴くままに行動し、やがて自ら身を滅ぼす。
怪獣映画だからと言って侮れない教訓だ。
平和の守護神でもやはり怪獣、その巨体が動くだけで町は大パニック。目的は破壊ではなく、小美人の救出。
洋上の進撃、ダムからの出現、町中の蹂躙…怪獣映画の醍醐味は健在。
常連・伊福部昭とは違う古関裕而によるドラマチックな音楽も注目。
有名な“モスラの歌”共々、東宝特撮怪獣映画の中でも忘れがたい名作。
コメントする