無能の人のレビュー・感想・評価
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忠実に再現
かつてはそこそこ名が知れた漫画家の助川は、現在まったく仕事がない状態。妻モモ子は息子とともにチラシ配りをして、なんとか一家を支える。そんな中、助川は突然、河原の石を売る商売を始めるが、全く売れるはずがない。石のオークションが開催されるのを知り、遠くまで採石に出かけてみるが。
つげ義春の原作漫画の映画化。つげ義春作品は、「ねじ式」くらいしか読んでません。それでも、その強烈なシュールさを、笑いも含めて忠実に再現しているように感じました。冒頭モノクロで始まり、このままだと重すぎるのではと思ったところ、カラーになってホッとしました。
友情出演がかなり多くて、誰がどこに出ているか探すのも楽しそうです。ちなみに、つげ義春本人は、階段のところでタバコを吸ってるそうです。
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うまくいかない男の夢想と優しい家族
怪優怪演の見せ場のある反面、話自体は原作に沿って地味に淡々と進んでいきます。
観ていてカタルシスは得にくい映画ですが竹中直人監督がパンフで引用していた川島雄三監督の「生きていくことは恥ずかしいことです」という言葉の雰囲気が色濃く出ていて主人公の人生の選択の妙なズレやうまくいかない残念さにこちらも引き込まれ、もやもやします。
主人公の夢想シーンなど詩的で美しい場面でした。またなかなかうまくいかない主人公を支える奥さん役の風吹ジュンさんもとても素敵に見えます。
こうしてこの家族は宇宙の片隅でとぼとぼ生きていくのかと不思議な感覚で鑑賞できる映画でした。
冒頭部に原作者がぽつっと映っていてそれもまた面白く感じました。
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