無常のレビュー・感想・評価
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地獄にこそ快楽がある。
監督実相寺昭雄、仏像、この二つに興味を惹かれて見たのだが、おおその展開か!とちょっと面食らう。それでも、監督ならではのアングル、カメラワークは、首元つかまれて引きずり込まれていく快感でもある。そして、ちょっとどこかで人間に化けた怪獣が出て来やしないかという妄想。出てくるわけはないのだけれども。
終始無感情のような正夫の思惑は何だったのだろう。家を継ぐことに反抗しただけの青二才には見えない。単なる性欲のはけ口とも思えなかった。結末がすべて正夫の筋書きだとしたら(例えば姉との事も姉を実家に縛り付けるため、自分が実家から抜け出せるための人身御供)、恐ろしい。なんだか、クールにウルトラセブンを諭す理知的思考を持った怪獣が正夫に姿になっているんじゃないかとさえ疑う。やばいなあ、山本耕史の顔がちらつく。そっちに意識引っ張られすぎる。
そしてラスト。まるで落語「死神」の無数のロウソクを思い起こさせるシーン。そこで出てくる婆ちゃん。やはりね、一人っ子もしくは男一人の兄弟は婆ちゃんっ子が多い。のび太をはじめ、そんな気がする。もしかしたら、石仏や仏像に求めているのは婆ちゃんの面影なのだろうか。たいていの悪さは婆ちゃんがかばってくれた幼少期、そうやって育ってきたから、姉や使用人の人生をめちゃくちゃにしようが、坊さんを言い負かして悦に入ろうがお構いないなのだ。婆ちゃんの存在が人格形成において大きな影を落としているんだろうなあ、とラストに強引に説得させられた気分。
褒めた方が映画通なんだろうなぁ的映画
昔、ウルトラセブンとかでたまに変わった展開の時の監督。今だと、エヴァの庵野監督がモロに影響を受けている演出。効果的に入れれば良いけど、間違うと単なる意味不明、独りよがりになってしまう。
しかし、この映画でまともな人間は居ないなぁ。主人公は姉と近親相姦して、子供まで作るが、それを親の奉公人を騙して姉と結婚させる。修業先の親方の奥さんともやっちゃうし。姉も最初の近親相姦は一応抵抗してるけど、最初から弟を誘っている様な雰囲気出してるし、結婚後も弟と関係してる。親方の息子は主人と義母の関係を知って怒るが自分も義母とやってるし・・・。
主人公が何の罪の意識もなく行動してるのは怖いんだけど、それが画面から伝わらない。
終盤、菅井きんの出てくる場面は意味不明だった。
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