「撮影台本とは違ったラストシーンの解釈が好きです」乱れる 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
撮影台本とは違ったラストシーンの解釈が好きです
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高峰秀子生誕百周年の企画の一環で、鎌倉の川喜多映画記念館のスクリーンで観ることができた。ありがたい。
職員の方の前説が、長すぎず、それでいて必要な情報は与えて興味をかき立てる内容で完璧。
最後の解釈の幅がある映画だと思うが、とにかく加山雄三演じる義弟が、一途といえば聞こえがいいが、お坊ちゃんで甘ったれていて自分勝手で迷惑。おい、お前アカンぞしっかりせえや!とつい突っ込んでしまうのも楽しみ方のひとつというか、深刻と愉快のはざまをたゆたうように観た。
まあ、雄三をデコちゃん演じる義姉が必ずしも迷惑と思っていないから成立するメロドラマなのだが、ラストは本当に雄三が考えなしですごい。併設の展示に高峰秀子が使った撮影台本があり、ラストシーンが完成品とだいぶ印象が異なっていたことを知る。ロケ地やエキストラの都合で現場でアレンジしたんじゃないかと想像するが、解釈も違うように感じる。
個人的には、やるせなさ、悲しさもありつつ、主人公が自らの意思で追いかけるのをやめたように見える。悲運のメロドラマだが、流されて悲しむだけえはなく、ちょっとした達観にたどり着くというか。潔い諦念が感じられた映画のラストが好きです。
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