「淡々と続くレイプと承認欲求」水のないプール かずぼんさんの映画レビュー(感想・評価)
淡々と続くレイプと承認欲求
現代では地上波放送が難しい問題作と話題になっている本作
ひょんな事から勧められて、ろくに内容も知らないまま見てみた。
調べてみれば1974年仙台クロロホルム事件と1980年の渋谷クロロホルム事件の双方からヒントを得て作られたらしい。
主演は内田裕也。若かりし頃の姿はカッコイイの一言。
惰性で生きる毎日から、とあるきっかけで犯罪に手を染めるという流れが、彼の無骨な感じも相まってやけにリアルに感じる。
中村れい子さん、美人なうえにとてもきれいな身体で素晴らしい。
しかし出てくる沢山の女優さんは惜しげもなく裸体をさらけ出しているにも関わらず、エロさはそこまで感じないのは、その事件的な生々しさがあるからなのか、それともやはり女性が気を失っている故に無機質に感じるからなのか…。
男が途中から食事やら洗濯などするようになるのは、やはりその無機質さに物足りなさを感じ、自分の存在を知ってほしいという承認欲求が働いているのではないかと思った。
始めは驚き困惑する女性、しかし来なければ来ないで寂しくなるというエロビデオのような流れに…。
最終的なオチは被害女性は告訴を取り下げ、「あんなに素敵な事があったのだもの」という男性のエゴイズム全開のような終わり方をしており、なんだかなぁという気持ちが芽生えた。
いずれにせよ全般を通して模倣犯を呼ぶような内容であり、コンプライアンスが厳しくなった昨今では確かに放送できないであろうという事は容易に想像ができる作品であり、「貴重な作品」という意味では見れて良かったと思おう。
尚、クロロホルムは現在劇薬で入手困難であるうえ、類似の薬も犯罪性の観点から入手は困難。
また、劇中のように部屋に散布するだけでは非常に効果が薄いと考えられます。
臭いも刺激臭を伴うので少なくとも起きている人なら異変に気付きます。
真似ること自体犯罪ですが、仮に真似しても成功しませんのでやめましょう。