劇場公開日 1990年4月28日

「ドタバタのコメディ&ミステリー、ストーリーは破綻していても斉藤由貴は目一杯躍動する!」香港パラダイス kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 ドタバタのコメディ&ミステリー、ストーリーは破綻していても斉藤由貴は目一杯躍動する!

2025年11月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWのリクエスト番組「あなたの映画館」の放送にて。

今観るとまぁ“トンデモ映画”なのだが、公開当時はそれなりに楽しめた作品だった。
香港ロケあり、カーチェイスあり、危機また危機の連続で飽きさせない連続活劇…ではあったのだ。

斉藤由貴は1985年のスクリーンデビュー以来、東宝の看板を任された青春スターだった。
世に言う80年代アイドルが群雄割拠していた時代、15~16歳で歌手デビューするアイドルが多い中にあって、高校3年生でグラビアからデビューした斉藤由貴には大人びた色気があった。
1990年春に公開された本作が早くも主演7本目という破竹の勢いで、アイドル女優から本格女優への成長を見せていた頃だと思う。
それでも一応はアイドル映画のカテゴリーなのか、ストーリーはいい加減だし、国内ロケは安く上げた感じがする。

監督の金子修介はロマンポルノから一般映画に転身してからはコメディばかり撮っていて、本作では斉藤由貴のコメディエンヌの才能と肉体的な色気を惹き出そうとしたように思う。
チャイナドレスや黒ストッキング姿で大胆に躍動させるのだから、目が離せない。
そもそも無理がある物語を、内藤陳、阿藤海、天本英世といったクセ者を配してコントに陥らないギリギリの遊びで筋を運んでいる。
相手役がなぜ小林薫だったのか分からないが、親子ほどとは言わないまでも15歳くらいの年の差なのに、最後はロマンチック・サスペンス的に決着させる驚き。『シャレード』のヘプバーン&グラントみたいにしたかったのだろうか…。

とにかく、ハチャメチャなこの映画は斉藤由貴主演作の中では最低評価作品かだったもしれないが、国民的女優といわれる今のポジションにつながる脱皮のキザハシだったような気はするのだ。

kazz