火垂るの墓(1988)のレビュー・感想・評価
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「終戦80年の8月15日に②〜自己責任の国の“忘れもの”」【追記あり】
『火垂るの墓』を再鑑賞して、驚いたことが二つあります。
一つは、この作品のレビューが70件と少ないこと。
もう一つは、この映画がPG12ではないこと。
確認したら、映倫のレイティング・システムがG/PG12/R15+/R18+に改定されたのは、公開から21年後の2009年5月1日でした。
1988年の公開時に『となりのトトロ』と2本立てで観た時、子どもだった私には「戦争映画のトラウマ」になりました。
両親は戦争を知らない世代で、祖父母は早くに他界したので、戦争について身近に話す人がいなかったこともありました。
今夜の金ローは7年振り14回目の地上波ノーカット放送、番組告知は「終戦80年の日、家族で見てほしい!」
名作であり秀作ですが、Parental Guidance(親の指導・助言)が必要な作品だと思います。
高畑勲監督の言葉を引用しておきます。
「本作は決して単なる反戦映画ではなく、お涙頂戴のかわいそうな戦争の犠牲者の物語でもなく、戦争の時代に生きた、ごく普通の子供がたどった悲劇の物語を描いた」
「この映画では戦争は止められない。映画で反戦を訴えるのであれば、“戦争を起こす前に何をすべきか”と観客に行動を促すことが必要だ」
【8月19日追記】
清太のモデルでもある原作者の野坂昭如氏は、自身の本の中で語っています。「妹が次第に疎ましく感じて、妹が死んだ時にほっとしてしまった。それが本心だった」
アニメ映画化が決まった時に、野坂昭如氏は念を押したと言います。「絶対に僕(清太)を善人のようには描かないでください」
【8月22日追記】
8月22日NHK放送「首都圏情報ネタドリ!
戦後80年 いま見つめ直す『火垂るの墓』」
戦後80年の今年、スタジオジブリのアニメ映画『火垂るの墓』が再び注目を集めている。
空襲で母を亡くした14歳の少年と4歳の妹が生きる姿を描いた高畑勲監督。没後に見つかった7冊の創作ノートには緻密な空襲の描写が。その原点は9歳の時の戦争体験だった。
一方、高畑監督は「これは反戦映画ではない」と語っていた。いったいなぜ?高畑監督と交流のあった太田光さんとともに、映画が現代に投げかけるメッセージを考える。
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終戦80年の今年、戦争をテーマにした映画の公開が続きます。
『木の上の軍隊』『長崎 閃光の影で』『この世界の片隅に(再上映)』『雪風 YUKIKAZE』、『太陽の子(特別版)』『遠い山なみの光』『宝島』『ペリリュー 楽園のゲルニカ』、『あの星が降る丘で、また君と出会いたい。』…
8月15日にレビューを残しておきたいと思い、旧作から戦争映画の名作2本を選びました。
P.S.
靖国神社のそばに、「遊就館」という戦争記念館のような施設があります。
明治維新、日清・日露戦争、第二次世界大戦までの歴史、日本が開戦という選択肢を選ばざるを得なかった経緯が伝えられています。
銃弾や血痕の跡が残る軍服や装備品、零戦や回天、特攻兵の写真や手紙、展示の前で立ち尽くし語る言葉を失くします。
政治信条や思想とは別に、東京に来られる機会があれば足を運んでほしい場所です。
現代の価値観で歴史を裁くことは、愚かなことかもしれないと考えることもあります。
それでも毎年8月15日という日には、体験したことの無い「戦争」を振り返りたいと思います。
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1988年映画館で鑑賞
BS・地上波で鑑賞
8月15日地上波でノーカット放送鑑賞
8月15日★★★★★評価
8月15日レビュー投稿
8月18日レビュータイトル編集
8月19日レビュー追記
8月22日レビュー追記
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