劇場公開日 1988年4月16日

「因縁の火垂るの墓」火垂るの墓(1988) まるのすけさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 因縁の火垂るの墓

2025年6月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

子どもの頃、火垂るの墓が上映された。
母は子どもが見ても大丈夫そうな内容か心配になって、先に1人で鑑賞したらしい。そのくらい、アニメへの想いの強い人だった。結果、同時上映のとなりのととろだけを子どもに見せることを選択した。
このお話を聞いて以来、火垂るの墓を観ることは自分にとって特別な意味を持っていた。今回、初めて鑑賞した。

栄養を失っていく様子、栄養のないものを与え続ける清太、栄養がないものを欲してなくてもその甘いコーティングに舌が喜んでしまう節子、ドロップの缶の音にすら喜びが出てくる様はあまりにも辛かった。
空襲中に火事場泥棒をする清太、お腹が膨らんでたぬきみたいになった清太、あんまりにも醜かった。(たぬき映画「平成たぬき合戦ぽんぽこ」、あらためて見直したいと思った。)

清太はずうっと、胸に軍人の父親を入れていた。まさしく、父親のように父親がしてくれたように、節子に振る舞ったんだろう。甘味のあるものだけでなく、清太と節子が成長できたのは、母親の仕事だったんだろうなぁ。節子はお墓を作って、ほたると母親を弔えるくらいな強さがある。女性の強さ。

いつの時代にも響くものとして、栄養というキーワードが今回の鑑賞で一番感じいった。

それにしても、高畑監督、やっぱりすごい。

まるのすけ