劇場公開日 1968年12月14日

「日本のホラー映画のはしりであったのかも知れない」蛇娘と白髪魔 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0日本のホラー映画のはしりであったのかも知れない

2020年3月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

1968年12月公開
妖怪大戦争と併映
監督はガメラシリーズの湯浅憲明

大映京都撮影所が大魔神に替わって妖怪物を打ち出していた中、同じ大映の東京撮影所はブームが頭打ちの怪獣映画に変わる新路線は何かを模索していた
そこで目をつけたのが、1966年から週刊少女フレンドで大ヒット連載漫画を次々と飛ばしていた楳図かずおの怪奇少女漫画だ
ゲゲゲの鬼太郎が少年漫画なら、こっちは少女漫画でという訳だ
なる程子供達の半分は女の子なのに、怪獣や妖怪は男の子しか相手にしてなかった
これならブルーオーシャンだ
母親にも受ける可能性も十分にある
目の付け所は素晴らしい

楳図かずおのあの怖い漫画の雰囲気は白黒で撮影しているのもあり良く再現されていると思う
けれどもホラーとしては良い出来ではない
蛇や蜘蛛も登場するし、蛙を股裂きにする残虐シーンもあるが、怖さを追求するように作っていない
脚本も演出も良い出来とはとても言えない

特撮といえるのは悪夢のシーンとクライマックスの屋敷の家事、工事現場からの転落シーン程度で大した特撮はない
それよりも蛇娘や白髪魔の特殊メイクにこだわっているように思える程度だ
蛇娘の背中の鱗の表現は良かった
とはいえ特撮映画とはとても言えない

見所は楳図かずお本人がタクシー運転手で出演していることくらいか
劇団ひまわりにも一時身をおいていたとかでなかなかの演技だ

結局、本作のみで怪奇少女漫画路線は消える
失敗作と見做されたわけだ

とはいえ、日本のホラー映画のはしりであったのかも知れない
その意味で観る価値はある

あき240