風船(1956)のレビュー・感想・評価
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ブルジョアとヒューマニティ
初めは名優森雅之の演技に注目して見てましたが、次回以降はいろいろ注目したい点がある、深みのあるいい映画です。
ネタバレあらすじの欄で、「圭吉は父の会社を出て。。」とあるがこれだけは許せない。正しくは「追い出されて」で、圭吉は何故追い出されるのかも分からないほどの愚図人間。しかしそれはあんたの息子だよ!元凶は母親で30歳すぎの息子の面倒を見ようとする甘やかし。でもやはりそれはあんたの女房じゃないか!結局は父親村上春樹(!)を取り巻くカルマなのか。そして末は世を捨て隠居生活。この映画の後、息子は改心するか、堕落するか。。。『天国と地獄』でもそうですが、三橋達也のこういう嫌な役は、殴り倒したくなるほど上手ですな。
視覚と聴覚への訴え方が心地よいバランスの良い映画
序盤、三橋達也が窓を開け放つシーン、ガス臭いなあ、エンドの違和感を和らげる効果。襖越しの新珠が持つ新聞表裏、「国鉄、外郭団体を整理」との見出し。新聞紙を裏返し表返ししてる。
壊れやすいものが好きなんだな。落ちて割れるガラスのチーター?のオブジェ。
東洋化学社内の廊下にあるスナップ写真は川島雄三が撮ったものらしい。
珠子はなるべく正面から角度をつけずに撮られているきがした。珠子を可憐に純粋に撮ることが撮影する上での目標だったらしい。見送る珠子と送られる村上春樹。ボヤけて遠方に向かう村上春樹が紙筒を手に振るのが可愛らしい。
ビルマの竪琴。同時期公開か。
夢は夜みるだけでたくさんだ。起きてる時の夢は計算尺で割り切るんだ。あの風船がどっちへ来るか賭けようか。.....
風船はどうしたろう。寄り添う2つの風船。陰日向。
風船か何かがモニャモニャする音。どのタイミング?
ブクブクとシャボン玉のような音。心情駆け引きの場面。こないだ観たあぶない母さんでも同じように意識付けされる音が使われていた。
珠子の絵
猫と何かを祈る女と飛行機
器から外れる一本のそば、息子が入ってタイミングでは入ってる。
この映画の凄いところ。誰よりも想っていた珠子が病床につく久美子に聞かせた眠り姫の話がここでは決定的な一打となっていること。話聞かせた物語と珠子の「さようなら」が大きく作用してしまった気がする。こうした心情の時は思わぬ言葉が刺さるものだ。
電話と風船の音。
ビンタと人情、人情のビンタ。
珠子は庭の草木をお供えする。
「生きてるってどういうことか、久美子さんに教えていただいたんだと思うわ」
珠子は嫌っ、ドアを放ち閉まると同時に珠子自部屋のドアが開くシーン。繋ぎ。
森雅之の人間ぽさ。ソロシーンが多かった。そして大抵何かに没頭しているのが撮られている。
家庭と大阪の家庭。居間の構図が似てる。人物配置も。どんどん人間ぽくなっていく村上春樹。やり手のおじさん。ミッキー。たまちゃん。卑怯な事が分からない息子。世の中皆んな。金と男と女。春樹。ビンタだけ喜劇。やり手のおじさん、都築さんは支配者。「ガス臭いな」と、ガスのありかを伝えた。その真意は。すがって来るよな一途な女に会っていたとしたらだ。風船のような。生活がそうさせるのよ。
突き放すのは、親心。
自尊心かい、この家ではそれが多すぎる。
親がストライキするのも型破りで良かろう。
京都へ行くんだ。京都では人がモノを作っている。
離別、あぁたまちゃん。
あぁたまちゃん、良かったねぇ。
永野芽郁そっくり。
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