「シリーズ4作目はちょっと変わった味付けの異色作!」緋牡丹博徒 二代目襲名 jin-inuさんの映画レビュー(感想・評価)
シリーズ4作目はちょっと変わった味付けの異色作!
お竜は不死身の富士松を伴い九州へ戻ります。冒頭のシーンは阿蘇。地元五木へ戻るのかと思ったら今回の舞台は北九州筑豊地区へ。
叔父さん(嵐寛寿郎)は筑豊鉄道の敷設工事を請け負い頑張っていますが、鉄道が通ると石炭運搬の仕事を失ってしまう川筋者(遠賀川の水上物流を担う川人足たち)と対立し、激化した抗争に巻き込まれ重傷を負ってしまいます。
見舞いに訪れた「お竜ちゃん」に後のことはすべて丸投げしぽっくり逝ってしまうアラカン。お竜は再興した矢野組の初仕事として張り切ります。現場監督として半纏にパッチ姿で陣頭指揮。人足たちと一緒に現場事務所に寝泊まりし、人足に夜這いまでかけられそうに。
川人足のボス「赤不動の親方」の元へ一人で向かうお竜。「小型船舶輸送は時代遅れ!これからの時代は鉄道運送!」というお竜の正論をまともに聞き入れる相手ではありません。相手が喧嘩っ早すぎてまともに話もできません。困るお竜。
いつもは傍観者であるお竜が本作では矢面に立たされるところがまず異色。赤不動たちとの対立と和解、悪のやくざ宝満組との対立と抗争、工事の発注元の鉄道院の課長さん(ウルトラセブン)との交渉、すべてお竜が前面に立って大車輪の働きっぷり。賭博をやってる暇もありません。いつもクールなお竜さんの悪戦苦闘ぶりが本作の見所です。
あと、本作には若山富三郎演じる熊虎が登場しません。代わりに大阪のお大尽金丸金吉(遠藤辰雄)がコメディリリーフ。
本作には賭場のシーンがない代わりに、屋外ロケ、蒸気機関車など結構お金かけてます。ラストシーン、いつもは敵の屋敷にカチコミですが、今回は事前に喧嘩状を送った上で河原での大乱闘。
シリーズのちょうど真ん中、第4作目はいろんな意味で異色作!たまには変わった味付けもいいと思います。
長門裕之演じるおちゃめな偽ヤクザ「大風呂敷」。ほとんど見せ場もなく退場します。高倉健演じる矢代さん。渡世の義理に縛られない正義の男前ヤクザですが、その立ち位置がよくわかりません。ふらっとやってきてふらっと死んじゃいました。
鉄道工事も無事終了し宝満組も皆殺し。仕事をやり終えたお竜さんはまたさすらいの旅へ。矢野一家の経営は大丈夫か?!