緋牡丹博徒 一宿一飯のレビュー・感想・評価
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格
鶴田浩二さんが…絶品!
彼の目から命の灯火が消えた時、思わず「うまっ!」と叫んだ。
どおにも東映のお家芸がハナにつく。
物語の整合性は二の次で…主役・富司純子をいかに立たせるかが主であるような演出だ。
おかげで富司さんはとても美しい。
だが、物語はかったるい…。
富司さんを見たくないわけではないけれど、ホントに見たいのは生き様だ。
先に見た「昭和残侠伝」では、その生き様が色濃く出てた。渡世の仁義、外しちゃならないその掟に作品も脚本も準じてたように思う。
だが、このシリーズではその概念が薄いように思う。表層だけ、上辺だけを模倣してるかのようだ。
芝居はくさいし、演出もねちっこい。
そこを吹き飛ばしたのが、鶴田浩二さんだった。
彼が出てきてからは、任侠色が俄然息を吹き返す。最早、代名詞とも思える存在感が凄まじいのである。
それに呼応するかのように、安定していく富司さんに、東京に端を発した「任侠映画」の系譜を見る。
格が違う。
模倣ではないオリジナルを作り上げてきた自信とでも言うのだろうか…そんなものを感じてた。
それにつけても鶴田浩二さんだ。
上手い…。
死にゆく様は絶品だった。
まるでストップモーションでもかかったかのように彼の時間は止まる。
生命活動がシャットダウンされるのだ。
アレ程説得力のある死に様を表現できる日本の俳優を俺は見た事がない。
あの時代にアレをやってのけてたなんて…至宝だ。
1作目が高倉健
2作目に鶴田浩二
富司さんへの寵愛っぷりは半端ないのだけれど、どおにも上滑りしてる渡世の仁義が居心地悪い。
今作の殺陣はやたらに派手だ。
それはそれで良いのだけれど、嘘臭くて始末が悪い。変革期と言えば聞こえはいいのかもしれないが。
ラス殺陣はさすが東映京都と思えるクオリティなのだけど、それ以外は作品の趣旨とは違うものが押し出されてたように思える。
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