「アダルトな雰囲気漂う特撮スリラー」美女と液体人間 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
アダルトな雰囲気漂う特撮スリラー
変身人間シリーズ第1作。
DVDで2回目の鑑賞。
雨の日に人間が服だけを残して蒸発するという奇妙な事件が続発。そこにギャングによる麻薬の密売が絡んで来るという展開でした。不可解な現象に捜査陣は手を焼きますが、佐原健二扮する科学者の証言により、一連の犯行は放射能の影響で肉体が液状化した“液体人間”の仕業であることが判明! 東京中がパニックに見舞われる中、地下水道に追い込まれた液体人間を倒すため、一大作戦が決行されることに―。
誰が何と言おうと、タイトルが抜群に良い! 「美女と液体人間」ですよ…。アダルティーだし、怪奇な匂いがプンプンしました。昔の映画の題名はオシャレかつ、タイトルを見ただけで「その映画観たい!」と思わせる粋なものが多いように思います。本作もそのひとつ…。妖しさ満点!
物語は完全に大人向け。主な舞台はキャバレーですし、そこのダンサーたちの妖艶なダンスが画面を彩りました。物語の重要なカギを握る人物として、白川由美演じるキャバレーの歌手が登場しましたが、その危うげな美しさは怪物に狙われるのも納得というもの。古来より怪物に美女は付きものですねぇ…。
液体人間は神出鬼没。水中に紛れてしまえば追跡は不可能。その不気味さもさることながら、音も無く忍び寄り、標的を包み込んで殺害する描写は、円谷特撮の面目躍如といった名場面でした。標的が泡となって崩れ落ちていく怖さと言ったら…。
そんな液体人間の誕生の原因となったのが、太平洋で行われた水爆実験。冒頭、それに遭遇して被爆した漁船が登場しましたが(これも幽霊船のようでとても不気味)、これは1954年に発生した「第五福竜丸事件」をモデルにしているとのこと。
日本初の本格怪獣映画「ゴジラ」製作のきっかけとなったことでも知られる事件ですが、当時は発生から2年しか経過しておらず、放射能の脅威がまだ身近に感じられていた時期だったのではないかなぁ、と…。物語的な怪奇だけで無く、現実的な恐怖も内包されている作品だなと思いました。
【余談】
後の電送人間、中丸忠雄が刑事役で出演(笑)
※鑑賞記録
2020/06/22:Amazonプライム・ビデオ